向かい合わせ
カンバセーションチェアという椅子がある。
2人もしくは3人が座れ、其々が互いの顔を見ずに会話が楽しめるいう。
ヴィクトリアン時代の後期に製作されたカンバセーションチェア。その名の通り、当時の高級サロンなどに使用され、訪れた客人達がおしゃべりを愉しんだ、らしい。ネットより引用。
昔何かのスパイ映画で、効果的に使われていたような気がする。
また、ヘッジホッグスジレンマという言葉がある。寒さに震える2匹のヤマアラシが
暖め合おうと近づくが、近づき過ぎると
お互いの体のとげが刺さって痛い。
しかし、離れ過ぎると寒い。
つまり、人は近づきすぎると傷つけ合ってしまう。 また、傷つけ合うことを恐れて距離を置きすぎると、今度は疎遠になりすぎて
仲良くなることができないという意味、
らしい。引用。
それを踏まえて。
我が家の炊飯器のしゃもじ立ては、
炊飯器にくっついて向かって右側にあり、
しゃもじの窪んだ面を内側に、
炊飯器と向かい合って立てると収まらず、
窪んだ面を外側に、そっぽを向いて立てるとうまく収まる。
そこで思い出す。
カンバセーションチェア。
ヘッジホッグスジレンマ。
ひとはひとと向かい合う時、
それくらいの距離感がちょうどいいのかも
しれない。
西日の当たるキッチンで、
しゃもじを見つめて思うこと。夏の日。
鳥のように
鳥のように、自由に。
よく言われる
鳥だって自由ではない
クリッピング 風切羽を切られ
籠の中で一生を終える鳥もいる
どちらを選ぶ?
まだあなたは選べる立場にいる
風切羽を切られたって
生え変われば飛べる
籠の鍵を持っているのも自分
外の世界を決めつけているのも自分
さあ
「翔べ」
さよならを言う前に
低く滾(たぎ)るSE
物語の始まる前
観客はまだ仮面を付けて
演者は籠(かご)の中
一瞬の静寂
暗転
観客は仮面をかなぐり捨て絶叫
演者はそれぞれの翼をはためかせ
七色の空を飛ぶ
そして
その時は来る
夢の終わりが
さよなら
そう告げるより
残された時間一秒ごと
愛し合おう
空模様
振動を肌で感じる
立ち上がる水のにおい
パタ パタパタと小人の足音
洗濯物を取り込む主婦たち
ラジオに混ざるノイズ
熱帯の海で生まれた
雷雲が押し合いへし合いして
極東のこの地にやってきた
緑たちは喜ぶが
人間たちは青くなる
浴びたい
本当は
雷雲のパワーを
風を
雨を
この体いっぱいに!
流石にそれはできなくて
安全な鉄筋コンクリートの中で
夢想しながら
ひっそりと
詩を書いている
自転車に乗って
自
転
車
に
乗
っ
て
鯖
雲
蹴
散
ら
し
て
季語 鯖雲 秋にみられる巻積雲。「鰯雲」に同じ。形状が鯖の班紋に似ることからいう。秋鯖の漁期によくみられる。
きごさい歳時期より引用