視界の端に
白い君が
ふわりと舞う姿を見付けた
ああ
なんていい春だろう
【モンシロチョウ】
いつまでも。
忘れられない想い出ばかりを与えて。
私を置いていってしまった、あなた。
ああ、なんて残酷で。なんて無慈悲なの。
あなたの優しそうな笑顔ばかりが脳裏に浮かぶ。
忘れられないほど、たくさん貴方が私に笑いかけてくれたせいで。
まるで呪いみたいに。
いつまでもあなたが私を蝕んでいってるの。
【忘れられない、いつまでも。】
一年後にまた会いに来る。
そう言って固い握手を交わしたはずの友人は、半年もたたないうちに俺の元へとやって来た。
おい、こら、どうしたんだと。
約束の一年はまだ先だろうと問い質してやると、友人は「あれ? もう一年くらい経ったと思ってた。お前がいないと毎日が退屈でさ、時間が経つのも長く感じたからそのせいかも」と、実にあっけらかんしとした様子で宣ってきたものだから、俺は「バーカ。なら旅に出るなんて言って、俺を置いていくなよ」と叱ってやった。
【一年後】
その日から見える世界はカラフルに色付いて
胸のときめきを思い出すたびに
馬鹿みたいに幸せになった
【初恋の日】
明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。
色々考えてみては、色々と浮かんだけれど、案外ぱっとしないな。
実際に世界がなくなるとしたら、自分なら別にいいやくらいに開き直るかもしれない。
だってあんまり世界に思い入れもなければ、これからの日々に希望を抱けていたわけでもない。
ああ、でも、できることなら。
世界がなくなるその瞬間くらいは、せめて誰もが穏やかに過ごしてほしいものだ。
戦争をしている国があれば、こんなのはもう馬鹿馬鹿しいと銃を置いて。日々の絶望に苦しんでいる誰かがいるなら、変わらぬ明日を嘆く必要はもうないんだと、俯いていた顔を上げる。
どんなものでもいいから、その時が来たら、地上にいる全ての人が、何かしらの優しくてあたたかい感情に包まれていてほしい。
──と、せっかくだから、そんならしくない願いでもしてみようかな。
【明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。】