NoName

Open App
10/17/2022, 12:00:19 PM

 私にとって、「忘れたいけど、忘れられないもの」それは、高校入試です。今でも、忘れたいとは思っています。しかし、何故か忘れられないです。
 私は、中学時代に頭が人一倍悪くて、期末テストや学力テストでよく赤点を取っていました。ただ、中1から悪かった訳ではありません。最初の点数は高い方でした。成績も、そんなに低くなく、平均値と同じくらい(真ん中)でした。しかし、中2になってから授業の難易度が上がって少しずつ付いていくことが出来なくなっていき、気付けば分かることより分からないことの方が多くなっていました。それに伴い、テストの点数や成績が下がっていき、下から数えた方が早いくらいの順位になってしまいました。
 テスト返却の日、ビクビクしながら返却されたテストを親に見せていたあの頃は今でも「忘れられないもの」の一つです。笑顔が一瞬で鬼顔に変わるあの瞬間が脳裏に焼き付いています。その恐怖は中3の終わりまで続きました。
 入試の時期となり、同級生たちはそれぞれ入学すると決めた高校に向けて勉強を始めました。私は白石工業高校に入学すると決めました。しかし、成績の悪さから担任の先生から「ちょっと難しいよ?」と言われましたが「頑張ります!」と覚悟を決めて言いました。入試内容は中学生活で三年間習ったことが出るらしいのですが、範囲が決まっておらず、出ると思うところを予想して勉強する形になります。しかし、学力が低かった私は範囲を縮めずに三年間分を無理矢理頭に入れようとしました。案の定、全く入りませんでした。入試は前期・後期・二次募集の三つでしたが、私の場合前期は時期的に間に合わないので後期に懸けました。
 結果発表の日、高校の正面玄関に合格者の名前が書かれた紙が張り出されました。私は不安を抱きながら自分の名前を確認しました。結果は虚しくも不合格でした。その瞬間、私は全身の力が抜けていき、家に帰る頃には魂が抜けたような状態になっていました。例えるなら明日のジョーの「燃え尽きたぜ、まっしろにな」という状態でした。しかし、まだ二次募集が残っていたので、目指す高校を村田高校に変更して必死に勉強しました。そして、村田高校の入試結果発表の日、この日も不安を抱きながら合格者を確認しました。結果は合格でした。最初は見間違いかとも思いました。しかし、合格は事実で、とても嬉しい気持ちになりました。成績が悪い状態で受けた後期入試に落ち、二次募集で受かるという形で高校に入学しました。受かるまでの過程は今思い出しても恥ずかしくなります。忘れたいとは思いました。でも、受かったときの嬉しさが忘れられません。
 気付けば、高校入試が私にとっての「忘れたいけど、忘れられないもの」になっていました。