君が隠した鍵
小学生のとき、そろばんの習い事に自転車で通っていた。
当時、自転車に鍵をかける習慣がなかった。
そろばんのお稽古が終わって自転車置場に行くと、私の自転車に鍵がかかっており、自転車に乗れなくなっていた。
誰かが勝手に鍵をかけて、鍵をどこかにやったのだ。
私は歩いて家に帰る羽目になった。
予備の鍵で自転車のロックを解錠することはできたが、ショックが大きかった。
誰かが隠れてこっそり私が慌てている様子を見ていたかもしれないと思うと、気味が悪かった。
あれはどんな意図で誰がやったのだろう、今でも気味が悪い。
手放した時間
寝てるとき?
あー、あれしたかった、これしたかった、
衣替えすればよかった、
ねる。
夢の断片
小学3年生のとき、パン屋さんになりたかった。
クラスの女子の半分はパン屋さんになりたくて、もう半分はケーキ屋さんになりたがった。
家族にそのことを話すと、パン屋さんは朝が早いぞと言われた。私はパン屋さんを諦めて、ケーキ屋さんになりたいと思った。
冗談じゃなく、その当時はパン屋さんかケーキ屋さんかしか職業を知らなかった。
次は保育士さんになりたくなった。
友達が保育士の魅力を語ってくれたからだ。
子どもと遊ぶのは楽しいよ、と。
いい仕事だなと思った。
中学生になって、医療ドラマにはまった。
医者も看護師も手術をする姿が格好よかった。
そのことを家族に話すと、医者も看護師も注射の練習をしないといけないぞ、と言った。
注射が大嫌いな私は医者と看護師を諦めた。
中学を卒業するときには、薬剤師になりたいと思った。理科も数学も得意で、薬で格好いい医療に関われる。
そこそこの難易度もあって挑戦するにはちょうどいいと思った。
高校生になって、Dr.コトーにはまった。
コトー先生がテレビの中で「好きなものには真剣になれるものさ」と語った。私の心に火がついて、真剣に医者になりたいと思った。
だけど、私の物理のテストは30点だった。
薬学部すら無理だった。
私は真剣に悩んだ。
将来の夢を考え直さなければ、と。
かなり遅くて、それは高3の秋だった。
父親は公務員がいいぞと安直に言った。
血迷った私は公務員試験を受けた。落ちた。
そこそこの進学校にいたのに落ちてショックだった。
そりゃ、就職一本の他の高校生と比べたら公務員試験対策を一切していなかったのだから、舐めてちゃ当たり前の結果だった。
そこで私は自分のこれまでの人生を振り返った。
好きなことは小説書き
興味のあることは環境問題だった。
大学では環境について学ぼうと思い、学科を決めた。
環境を守るためには、
出版社で働くジャーナリストになるか、
教員として理科を教えようと思った。
そうした夢の断片が今の私を支えている。
果たして私は今、当初の夢を叶えているのか?
見えない未来
未来が見えたら自由だなって思う。
未来が決まっているなら、
多少のおしゃれはやめてしまう。
だって、おしゃれしなくても未来の旦那さんは決まってる。
未来が決まっているなら、
多少の遅刻は気にしない。
だって、自分の評価が下がってもクビにならないことを知っている。
未来が決まっているなら、
頑張らない。
どこまでやれば大丈夫なのか未来が見えるんだから。
頑張る量はそれを見て決めることができる。
未来が見えないから、よい方向に進むように自分を律して頑張れる。
自由はないけど、自由のために頑張っている。
吹き抜ける風
さむい!!!
なんで扉しめてくれないの?冷たい風が吹き抜けるじゃん!!
と言っていつも喧嘩。