おや、靴紐がほどけてしまいました。
このところ靴紐がよくほどけてしまうのです。どれだけ頑丈に結んでも、いつの間にかほどけてしまっています。
そうしているうちに思うようになったのです。
まるで人との繋がりのようだな、と。
だって人との繋がりだって、どれだけほどけまいとしていたって些細な出来事でほどけてしまうでしょう?
そして、そうなってしまえば人間関係をもう一度繋ぎ直すことはそう簡単ではないでしょう?
そう考えると靴紐っていいのかもしれません。
何度だって繋ぎ直せるのですから。
答えは、まだ決まっていません。
先日あなたに告白されました。
だけど、あなたの思いを一緒に背負うことはできません。私はきっとあなたの思うほど美しくはないから。
あなたは私を月だとたとえてくれましたね。
自分を照らしてくれる月だと。
ありがとう。とてもうれしかった。
でも。
旅に出ることにしました。
昨日、失恋をしたもので。行き先はどこにしましょうか。
ちょいと月まで行ってみましょう。
月からあなたを眺めるのもいいかもしれませんね。
ちょっと気持ち悪いって?それも恋というものですよ。
あなたもきっと大人になればわかりますよ。
ずっと眺めていたいという恋が。
君との暮らしにもだんだんと慣れてきました。
君は植木鉢を倒したり、壁をひっかいたりするけども。
今日は一年で一番月が綺麗に見える日のようですよ。
いつもは見たりしないけども、今年は君がいるので一緒に見たいです。
「一緒に月を見にいきませんか?」
「ミャア〜!」嬉しそうに鳴いています。
「それじゃあ、お外に行きましょうか。」
外はいつもよりも明るくて、温かく感じます。
君は私の腕のなかから不思議そうに月を見上げています。
「月が綺麗ですね。君も綺麗だと思いますか?」
「ミャア〜。」楽しそうです。
今日は君と月を見れてよかった。君は私にたくさんの幸せをくれますね。
君と見上げる月は今まで見てきたなかで一番綺麗です。
君が来てから、家が賑やかになりました。
以前はこんな広い家に私ひとりで、とても寂しかった。
でも君が来たからもう大丈夫。もう寂しくないです。
欠けていた私の空白の部分に君という存在がピッタリとはまってくれました。
「ミャア〜、ミャア〜。」
おや、あの子の呼ぶ声が聞こえます。
今日は何をして遊びましょうか?