“チク タク”
“チク タク”
静かな部屋で刻々と時間を刻む時計の音
時々刻々と今日が終わっていく
明日が来るのが楽しみで
また過ぎ去っていくのが怖い
あと少し
今日という今日をもう少し
感じていたい
動け、、、
動け、、、
動け‼︎私の足‼︎
今私にできる事は
それだけなのだから、、、
“ハロー、元気ですか?”
“私は今もなんだかんだで楽しくしてますよ”
“今までで何もないと言うと嘘になりますが、君が思っている以上に世界は楽しいですよ”
“何かに躓いたり、投げ出したくなった時は一歩下がって深呼吸してみて”
“そして上を見上げてごらん”
“ ほら、空はとても広いでしょ?”
“君がいる場所だけが全てではない”
“少し下がるだけで世界はそれだけ広くなるんだよ”
“その景色を見たまま一歩踏み出してみようか?”
“アドバイスはここまで”
“それじゃあ、10年後の君からでした”
“ばいばい”
『10年後の私から』より
ふわっと甘い香りが漂った。
私は思わずスマートフォンから目を離し、周りを見渡した。そこには何人かの女子高校生が紙袋を交換し合っていた。
あぁ、そうか、、、今日は2月14日なんだ、、、
コロナにより在宅ワークが増え、最近になってようやく会社通勤となった私は出会いだの何だのと無縁の生活を送っていた。
私はもう一度スマートフォンに目を落とし、少し検索してポケットに仕舞い込んだ。
家に帰った私は、早速キッチンに立ち冷蔵庫からいくつかの材料を取り出した。
まず小鍋に水を入れ沸騰させる。
沸騰すればティーパックを入れ紅茶を作る。ティーパックを取り出し、チョコレートを入れ弱火で温めるが、ちょっと面倒くさいな、、、
牛乳も一緒に入れて温める。
コップに移せば「チョコレートティー」が出来上がった。
紅茶の香ばしい香りとチョコレートの甘い香りが混ざり、なんとも言えぬ幸福感に包まれる。
椅子に腰掛け窓の外に浮かぶ月に乾杯しながら、今夜は甘い幸せな空間に身を沈めるとしよう。
______________“Happy Valentine's Day!”______________
“ほら、もうすぐ雪が溶けるよ”
そう君は嬉しそうに言う
僕はまだ寒くて、暗い中蹲っている
待って、、、
あと少し暖かくなれば
その時は君に会いにいける
君の笑顔を見ることができるから