君の目を見つめると
深いアメジストが僕を捉えて話さない
君はいつも何を考えているのかわからなくて
瞳の奥に秘めたものを読み取れない
いつだって僕は君に魅入っているけど
君はいつだって無表情に僕を見つめる
そんな君の目を見つめると
僕は申し訳ない気持ちになるんだ
君を感情を持ったものに作れなくてごめん
僕は君を
ただ命令を待つだけのものにしたくなかったのに
星空の下で
「すごいな…」
思わず、感嘆の声をもらす
都会生まれ、都会育ち
こんな田舎に赴任が決まった時は
不安が大きかったし
実際風土の違いや不便さに戸惑った
だけど
残業を終えて外に出た僕を迎えたのは
空一面の満天の星空
こんな光景
テレビやゲームでしか見たことない
そしてリアルの星空は画面で見るより
何倍も綺麗だった
「ここ、星だけはほんと綺麗よね」
空を見上げて呆然としている僕に
後ろから出てきた君が声をかける
先輩かと思っていたら
実は僕よりほんのちょっとだけ先に
ここに来たのでほとんど同期らしい
「こんな田舎、もう寄るところなんてないけど
ちょっと散歩して帰ろっか」
屈託なく笑顔を見せる君に
ここに赴任してきたと心から思えるのだ
それでいい
君はいつもゆるい
面倒くさいことは後回しにするし
疲れたときはすぐに休む
やる気ないよね
そんなこと言う人がいても
そうだよね
って、にへらと笑う
君はそれでいいんだ
肩肘張らず、無理せず
自分のペースで生きるのが一番だ
1つだけ
1つだけ、得られるとしたら何を選ぶ?
富、栄誉、名声
そんなもの、欲しいだろうか
唯一無二の何か
自分が自分である何か
何かが欲しい
そう、1つだけでいいんだ
自分が得意なもの、誇れるもの
そんなものが、私は欲しい
大切なもの
毎日が忙しくて、余裕がなくて
何か大切なもの、忘れてないかい?
君はまじめでがんばりやさんで
自分には人一倍厳しいから
ちょっと忙しいと
すぐに一人で溜め込むよね
大丈夫だよ。落ち着いて
深呼吸して、周りを見渡してごらん
意外と人はゆるく生きてるし
君ももう少し力を抜いていいんだよ
ほら、リラックスしたら見えてきただろう?
君にとって、大切なもの