切手も宛名もない

せめてもの抵抗に蝋で封をして

誰かの許に正しく届くことを願って

同じものなのに

他人のものの方が

ずっとずっと

綺麗に輝いて見えてしまうのは何故

今を写真みたいに切り取れたなら

きっと傷はもう痛まないだろう

代わりに治る事もない

それでもいいよ、と思う日々

懐かしい　つい最近のこと
聞こえるはずのない　君の声に振り向けば
幽霊に恋しているって　なんかちょっと恥ずかしい

別に探してる訳じゃない
風邪の時に似ている　目を開けたままの夢
輝いて見えるのは　ねぇ、無くしたからかのかな

耳が熱い　逸らした瞳
口が渇く　指先の迷路

正解のつもりで来た間違い路

どんな言葉もきっと役に立たない
それならいっそ黙ってみようかな

どうせ泣かせてしまうのなら
もう使う事はないだろうから
これにしよう

「ありがとう」