〖 沈む夕日 〗
新しいクラスでの一日がひとまず終わって河川敷へ向かった
入学式での生徒会の仕事が長引いて
気づいたら帰り道に夕日が沈んでいた。
河川敷に映る景色は本当に綺麗
いつもそう思う
私にとってこの河川敷は
初めて恋に落ちた先輩と初めて話した場所でもあり
失恋して辛くなった時に来た場所でもある
この河川敷からはいつも星空しか見てなかったけど
沈む夕日を見るのも良いな。
何でかわかんないけど沈む夕日ってエモいよね
何故だか涙を流しながら
川に写っている沈む夕日を眺めていた
〖 君の目を見つめると 〗
新学期が始まり
新たなスタートラインに立っている。
今年で中学二年生になる
つまりは初めての先輩になるということである
学区外から来た私は
知り合いがいないんじゃないかと不安に襲われた
クラス名簿を確認して席に座る
隣の席は去年同じクラスで仲良くしてくれた陽キャ。
私自身、あんまり陽キャは好きじゃない
だけどその男子は
私の失恋話も聞いてくれたり
沢山遊びに行ったりもした
そんな仲良い男子が隣なのは少しほっとする。
けど問題は自己紹介
私の番がきてクラス全員の前に立つ
緊張で倒れそうだった
だけど隣の席の男子が私のことを見て頑張れと合図してくれた
あー
君の目を見ると思い出してしまう
失恋という結末に至ってしまった初恋の先輩を
君の目を見ると心が痛む
本当は君の目を見たくない
だけど君が嫌いな訳じゃないんだよね
なんだろこの気持ち
〖 星空の下で 〗
私は昨日失恋した
初恋の先輩が
実は私の部活の部長と付き合ってたんだよね
なんか薄々気づいてたけどさー
まさかなって思ってた訳よ笑
先輩が事故で入院してたから
お見舞い用の花束…。
っていうのは建前で
実は告白用の花束を買ってたの
先輩が好きな青を基調とした花束。
失恋したいま
私は星空の下の河川敷で1人で座ってる
「 花束どーしよ 」
「 てかこれからどーすればいいと思う?笑 」
私は永遠と星に語りかけていた
〖それでいい〗
初恋の先輩が事故にあって2日。
あと数日で高校の入学式なのに結構な重症だったと聞いた。
今日やっと意識を取り戻したらしい。
私は花束を持って病院へ向かった
先輩が好きな青を基調とした花束を。
先輩がいる病室の扉を軽くノックする。
「 失礼します。 」
静かに病室へ入った
カーテン越しに見える人影は2つ。
1つは先輩。もう1つは … ?
多分誰かが先輩のお見舞いに来たのだろう
私はお見舞い客が帰るまでどこで待つか悩んでいた
するとカーテンの中からはこんな声が聞こえた。
『 ねえ、やっぱり私達って付き合ってること部員にバレてるのかな? 』
『 バレててもバレてなくても俺は○○が大好きだから 』
え…?
いや待って?
○○って2年生の部長さんだよね?
学校1可愛くて優しいと言われている私の部活の部長。
あー、そういうことだったんだ。
だから2人がコロナにかかった時期がほぼ同じで、
LINEのステメとかで匂わせもしてて、
数日前に行われた部活の引退式で仲良くしてて、
流石に付き合ってないのかなって信じてた。
最初から私なんてどうでも良かったんだ。
きっと先輩は○○さんと付き合ってて幸せなんだ。
先輩が幸せならそれでいい、それで良かったんだ。
私は泣きながら病院を後にした。
「あー、泣きすぎて顔やばいかも…笑」
そんなことを考えると同時に
「青い花束どうしよっかな…。」
私の初恋が今日で終わった。
先輩、出会ってくれてありがとう。
〖1つだけ〗
1つだけ願いを叶えられるとしたら。
私は1年前に時を戻したい。
1年前、私が入学した時に。
何故片想いをしていた同じ部活の3年生に告白しなかったのか
もっと早くから話しかければよかった
大好きな先輩と揉めたせいでメンブレもした
何で喧嘩をしてしまったのだろう
全て時を戻したい
だってこの1つのお願いを叶えられたら
先輩が卒業する前に告白して
昨日起こった先輩の事故を止められる
昨日の事故で先輩の意識は不明
1年前に時を戻して
助けたかった
ねえ先輩 … ?