『部屋の片隅で』
齷齪に塗れ凋落となり
聚楽の味を噛む日々に
冨樂を嫉む醜悪な性に染まる
明日の陽を見ることさえ覚束無い
魑魅魍魎のように化ける心
縷縷忘れてしまうのか
いつからかの朧気を
解を見い出せぬまま
部屋の片隅で
泣いている
『冬のはじまり』
「だんだん寒くなってきたな〜」なんて思っている日々
今日もいつも通りに家を出たつもりだったけど
玄関から出た瞬間、自分の吐く息が白くなっていることに気づいてびっくりしちゃった
「あ、もうそんな季節なんだ!」
なんか少し笑いが漏れちゃったような……笑
昨日までは、何にも無かったのになあ……!
「せっかく季節の変わり目を感じ取れたんだし、気持ち新たに行こう!」
そう思いながら学校に登校したよ
『どうすればいいの?』
ぐずって泣いてまた泣いて
「生きらんない」なんて言って
越えられない夜に蹲る
やるせないからと馬鹿にして
どうやっても私には解けない
感情の紐が余計に絡まってしまう
踊りながら「ちがうんだ」って
どうしようもないまま忘れてしまう
霧にまみれた心の私だ
『秋風』
今の季節は外の空気が気持ちいんだ
冷たすぎず 生ぬるくもなく
普通に息をしているだけで
爽やかな気持ちになれる
嫌な事なんて簡単に消えちゃうくらい
だからちょうどいい冷たさになるまで待って
日が沈む頃にゆっくり歩いて帰ろう
秋風が吹いた 微笑んだ
いつもは授業が終わってすぐに帰るけど
たまには夜道で楽しく帰ろう
『また会いましょう』
あの双星の流星が砕け散るように
音を立てずに派手にひび割れた硝子
零した水に滴る涙
混じった涙の姿が消えた
目の前を通り過ぎる風切る電車
レールの上に落としたスマホは壊れて
小雨はまだ降り続いている
滲んだ裾で目元を拭う
「でもさ、もう会えないって訳でもないから!」
無理やり笑って手を振った
警鐘が無情に鳴り響く
長い時間ってどれくらいなんだろう
つたう小雨はだんだんと大粒へとなって
「ううん、でも、大丈夫。きっと帰ってくるから!」
だからさっきよりもにこっと笑って思いっきり叫んだ
「また会いましょう」