NoName

Open App
10/22/2024, 2:35:45 PM

朝の登校中にフリースのコートを着た人とすれ違った
「あぁ、もうそんな季節なんだ」

制服のブレザーを着て家を出る時、少し恥ずかしい様な
それでいて、安心する様な不思議な気持ちになった。
道すがら見かける学生は皆、今日から冬服になっていた。
急に寒さを感じる様な気になって、明日にでもマフラーを巻きたい気分だった。

「うちの制服ってさぁ、ブレザーダサくない?」
聡美はそう言ったけれど、私はうちの学校の制服が気に入っていた。ベージュのブレザーにグレーのチェックのプリーツスカート。聡美はギリギリまで丈を短くしていたから、太腿が露わになって一緒に歩いている私の方が恥ずかしいくらいだった。でも、可愛かった。私も聡美のようにスカートを短くしてみたかったけれど、そんな勇気はなかったし、寒いのも苦手だった。
「寒くないの、そんなに短くて」
「やだ、お母さんみたいな事言わないでよ」顔を顰めた聡美は、続けて「おしゃれには我慢が大事なのよって、もういつの人だよ〜」と言って豪快に笑った。「寒くても、スカート短い方が可愛いじゃん」「確かに、可愛いよ」
聡美はくるくる回って喜んだ。

「もうじきじゃん、1周年‼︎」
そうだ、彼と付き合い始めたのはちょうど去年の衣替えの頃。
もうすぐ、また冬が来る。手を繋いでその温もりが幸せな冬が、

10/21/2024, 10:14:22 AM

声が枯れるまで、何度も何度も舞台の上から台詞をさらった。どんなトーンで、どんな音量で、どんな感情で。
何度も繰り返した。
分からない、まだつかめない。
でも、私は今ここにいる。
私は生きている。