【やりたいこと】
やりたいことなあ~
あったはずなのになあ~
もう思い出せないなあ~
悲しいなあ~
【朝日の温もり】
ここは落ちつく
周りは薄暗く、動くものはない
小さな明かり取りの窓からは、月明かりがうっすら差し込んで室内に静寂を与えている
それ以外にこの部屋は外とは完全に隔絶されている
ああ、幸せだ
私のつぶやきは薄闇に吸い込まれていく
ここは静かで何もない
私はこの静寂を愛している
そういえば、数日前にこの部屋を訪れた少年はどうしているだろう
キラキラした目で私を果てない冒険の旅へ誘ってきた
かの少年は今頃どんな旅をしているだろうと想いを馳せた
まもなく夜が明ける
窓から差し込む白々とした光は、青く紫へ、暖かなオレンジ色へ変化していく
私がここから出ることはない
これから昇る暖かな太陽が
私の分まで、かの少年に降り注いでくれたらいいと思った
【岐路】
体を壊すか
会社をやめるか
私の岐路
【世界の終わりに君と】
「世界の終わりに柴犬と」のご主人のマインド好きだ
【最悪】
「イエーイ、大成功だな!」
金髪の男は興奮していた。
「早く開けようぜ!」
「ちょっと待てって、落ちつけよ」
革ジャンの男はボストンバッグをテーブルに置きながら金髪をたしなめた。
「だってさー、俺、金塊って漫画でしかみたことねーんだよねー」
「どうせすぐに現金に変えるがな」
長身の男が言った。
「だからだよ、今のうちにしっかり目に焼き付けておかないとねー、じゃ、無垢なる乙女とご対面~」
そう言ってバッグのファスナーを開けた。
「あっこら」
「………」
「どうした?」
「…何これ?」
革ジャンが上から覗き込んだ。
バッグの中は生後数ヶ月の乳幼児が入っていた。
「あ、赤ん坊…かな?」
「無垢なる乙女は?」
「…無垢なる…赤ん坊?」
長身の男は頭を抱えた。
「最悪だ」