部屋の片隅で
部屋の片隅で膝を抱えたところで、何も改善しないことは分かっている。
分かっているけれどどうしても堪えきれない。
ことことと音を立てる加湿器の蒸気を見つめると、上司の顔が浮かんでくるような気さえしてくる。
ため息ひとつ、蒸気に溶け込ませるようにそっと吐き出す。
『私だって、人間になりたかったよ……』
逆さま
逆さまだったかもしれねぇ。
逆じゃねぇ、逆さまだ。
加湿器は乾燥しているものの周囲に置くもので、電化製品や書類、紙の近くに置くものではない。
でも、今は逆さまだ。
上に本棚、真ん中に飾り棚、下にパソコン。
どこに置いてもアウト。軽い蒸気は上に上がるし、重い蒸気は下に下りる。
ツーアウト。
飾る場所を考慮せず買ったオレが悪い。
パーソナル加湿器は机に置くものだ。
机に置き場所がないので飾り棚に置いた。
そこには本とノパソを保管していた。
加湿器ありきで置き場を決めたじゃねぇから、因果が逆なんだ。
逆さまがこれにどんな関係があるんだって?
あー、見れば分かる。
サイズ的に、厚み的に置ける場所が限られた物を『そこ』に安置するだろ?
加湿器を置こうとするだろ?
その上下が電化製品と本だろ?
オレの趣味と部屋の収納が逆さまだったらなぁ。
眠れないほど
眠れないほどに気になることがある。
9月から始めたのに、なぜまだ片付けが終わらないのだろうか。
何も気にせずに、ごみ箱にぽいぽい物を捨てるだけなのに、勿体ない精神で何も捨てられない。
眠れないほど気になることがある。
250冊も本を手放したのに、何故13冊も本を買い足してしまったのだろうか。
眠れないほど気になることがある。
耳鼻科の先生は「認知行動療法が効く」と言ったのに、精神科の先生に方法を聞くと「あなたの場合は有効な手段ではありませんね」と言われたのはなぜだろう。
眠れないほど気になることがある。
あんなに眠いと思っているのに、いざベッドに横になると目がぎんぎんに冴えてしまうのはなぜだろう。
今日もまた、眠れない夜と戦う時間がやってきた。お休みなさい。
夢と現実
夢かと思うような現実も、現実かと見紛うような夢もある。
夢か現実か、夢と現実か。
私の選ぶべき世界はどちら?
夢ならば、それでいい。
現実だからこそややこしくなる。
私が選びたい世界はどちら?
さよならは言わないで
よく聞く。さよならは言わないでって。
再会を信じているからとか、水くさいからとか様々理由はあるらしいけど、さよならを言う権利はないのだろうか。
別れを告げる権利。決別の意思を伝える権利。
なあなあでぐずぐずするのは嫌だ。
そういって曖昧に濁しているからうまく使われてしまうのだ。
さよならを言わせて。
言わないでほしい権利は要望。
言わせてほしい権利は人権だと思っているよ。