衣替え
最近読んでいる片付けの本数種類を見ると、どれも「衣替えはやめました」「引き出しの前後を入れ替えるだけ」「上段と下段を入れ替えるだけ」という文字が目に入る。
衣替えとは社会的な行事のことだったのに、いつの間にか家でも衣替えをする行事が増えていたのだとはっとさせられた。
そういえば私もそうだ。
トップスは引き出しの前後。
ボトムスは上下入れ替え。
パジャマは夏冬の重ね方を入れ替えるだけ。
形だけでも季節を感じることに意味はあるのだろうか。
学生時代を思い返せば、間服はどこに置けばいいのだろうかと考えてしまう。
迷う。衣替えに迷う日々は卒業したはずなのに、迷ってしまう。
声が枯れるまで
声が枯れるまで叫びたい。そんな思いは私の中から消え失せてしまった。
主張するには体力がいる。
抵抗するには気力がいる。
昔なら声を限りに叫んだだろう。
昔と言ってもほんの1年前のことなのに、すっかり弱った私は何もできずにいる。
いやだ。いやだ。いやだ。
そんなことでは困る。
声が枯れるまで叫びたい。
そんな気力が回復したとき、私はまた立ち向かえるだろうか。
始まりはいつも
始まりはいつも唐突。
例えば趣味。急にやりたくなって一式道具を揃えて編んだり縫ったり削ったり切ったり、私はそうやって衝動で取り組んできた。
あれこれ作って猪突猛進だったあの頃も今は昔。
体調と相談しながらできることを慎重に選び、やりすぎないようにタイマーを掛けて休憩時間を設けている。
熱中したいのに体がついてこない。
そんな生活と戦いながら、手放した始まりは終わりを告げた。
ああ、趣味ってなんだったんだろう。
終わりもいつだって、唐突なんだな。
すれ違い
すれ違いざまにドロップキック。
すれ違いざまにバックドロップ。
何をと思われるかもしれないが、これは対ぶつかりおじさん用のガード戦略だ。
自慢ではないが私は身長が高くない。
男性にぶつかられでもしたらことによっては休職沙汰になる。
毎日頭の中でシミュレーションをしながら人混みを歩くことで自分を守っているのだ。
少し足早にこちらへと歩いてくる男性を見たら、重心を傾けて踏ん張る用意。
広い道ならすれ違う寸前に一歩踏み出して躱す。
掴みかかろうとする酔っぱらいなら……
すれ違いざまにドロップキック。
秋晴れ
秋。からっと晴れた穏やかで高い空が思い浮かぶが、実際はまだじめじめと厳しい残暑だ。
昔はもっと涼しく過ごしやすい季節だったように思う。私は秋が好きだったはずた。
年々厳しくなる気温と戦う今時分、暑すぎない晴れの日を心待ちにしている。