初めから…そう 出逢った時から
間違っていると知っていたんだ
間違っていたとしても
ダメだとわかっていても
貴女が欲しくてたまらなかった
サヨナラと手を振る貴女の手首を掴んで
細い指先をゆっくりと口に含む
指先から伝わる貴女は
か弱くて 優しくて 罪深い
そして…驚くほどに冷たかった
初めから…そう出逢った時から
すれ違いの僕達だから
交わることなんて
きっと…許されない
ねぇ…知っているの?
僕はもう充分過ぎるほど
大人になってしまったんだ
あの時とは違う 違うはずなのに…
それでも僕はどうしたって
貴女しか愛することが出来なかった
何年も…何年経っても
貴女しか心に住まわせることができない
忘れたくても 忘れられない
いいや…違う
忘れさせて…くれないんだろ?
今もこうして貴女は
僕の心を支配し続けている
この痛みは きっと愛の証
ねぇ…早く僕を抱きしめて
愛していると…言って
理由なんて…ない
ただ貴女が居ないという事実
それだけが…僕の涙の理由なのに
まるで泣くことを許されなかった
あの頃の僕のように涙を黙って隠す
キラキラと光る頬が暗闇に溶けて
僕はまた…自分さえも見失いそうで
この涙の理由をずっと考えていた
力を込めて…
この扉を開けてごらん
大丈夫 だよ
怖がることなんてない
扉の向こうにあるものは
きっと…
見たこともない
自分が待っているはずさ
そして…その隣には
僕がいるはずだよ
約束する
だから…力を込めて
さぁ 開けてごらん
あの日…
なぜ 僕たちは
手を取り合わなかったのか
なぜ 僕たちは
離れることを選んだのか
僕たちはあんなにも
愛し合っていたのに…なぜ
この街の海辺はあの日と同じで
潮の香りも海の色も何も変わらない
この街の夕暮れ時はあの日と同じで
優しさと寂しさで僕を包む
過ぎた日を想い…そして君を想う
どんなに大人になっても
僕が愛しているのは…君だけ
あの日と同じで何も変わらない
何も…変わらない