「追い風」
追い風は未熟な私の背中を押してくれる。
暖かくて、それでいて透き通るように爽やかで。
地面から舞い上がる花びらを見て、いつの間にか下を向いて歩いたことに気がつく。
さあ、前を向いて歩いていこうよ。
そして上を見てごらん。空は今日も広くて青いよ。
それは、追い風からのメッセージかもしれない。
こんなにも世界は鮮やかだと。
「君と一緒に」
あなたは私が生まれたときから一緒にいるね。
君と一緒に見てきたものが沢山ある。
遊具が沢山ある広い公園。
寒い冬の雪景色。
帰り道車の窓から見える夕日。
全てを思い出せないけれどきっと心は覚えている。
そばにいてくれてありがとう。
これからもそばにいてね。
君と一緒に見たいものが沢山あるから。
「みかん」
冬になると毎年みかんを食べる。
お風呂上がりやテレビを見ながらだったりもする。
冬の間は飽きるほど食べるけれど、季節が移ろえばみかんの味が恋しくなる。
みかんの皮の向き方や食べ方にも、人それぞれ個性があってなかなか面白い。
あぁ、春になったらこの味が恋しくなるのかな。
そしてまた来年の冬には…
「何でもないフリ」
嫌われたくなくて、相手に合わせて笑顔を振りまいて。
だけど、結局はからまわり。
私何か悪いことした?置いていかないでよ。
本当は全部聞こえてるよ。
でも、そんなこと言えるわけないよ。
今日も明日もなにも知らないように笑う。
何でもないフリ。
そんなものはもう慣れた。
今、あの頃の私に言いたい。
あなたはあなたのままでいいんだよ。
そうすれば本当の友達に出会えるから。
そして、誰かを信じられるようになるから。
苦しい時誰かが手を差し伸べてくれることを知るから。
大丈夫。あなたはそのままでいいの。
「鏡の中の自分」
中学のとき、自分の容姿が好きではないから鏡を見ないようにしていると言っていた女の子がいた。
私はその子のことを可愛いと思っていたが、人それぞれ悩みはあるよなと思った。
高校生になって、私は初めて電車で彼女を見かけた。
あの頃とは変わってロングヘアで高めのポニーテール。
膝上のスカート。
あの頃と変わらない、上向きまつ毛とぱっちりした目。
彼女が今鏡の中の自分を好きでいられていますように。
自信を持って鏡を見れていたらいいな。