外には華やかな人で溢れている。
着慣れないスーツに身を通す人。
まだ幼さを残し制服を纏う人。
新しい春物を着こなす人。
皆 新しく何かを迎え入れ、
そして何かと別れたのだろうか。
それは、寂しくも嬉しいものなのだろう。
新しいものに期待と不安でいっぱいだろう。
私は、どうだ。
何か変わっただろうか。
これから先、変われるのだろうか。
今日もここから出られないままで。
今もここから眺めているだけで。
羨んでいるだけで。
新たに踏み出す勇気も出ないままで。
【春爛漫】
あなたが好きでした。
【誰よりも、ずっと】
清楚でお淑やかで美少女そのものなあの子。
窓際で空を見つめ黄昏れたり、
友達と談笑している時の表情、
先生と会話する時の仕草、
床に落ちた消しゴムを拾う所作。
その全てが完璧に美少女で、
不自然な程に自然である。
あの子は自覚しているのだ。
自分が清楚でお淑やかな美少女なのだと。
だからこそ美少女然として振る舞う。
まるで意識していないかのように錯覚させる。
さり気なくも完璧に、完璧な無意識のふり。
それ故に、彼女は完璧な美少女とは言えない。
【何気ないふり】
夢みたいな人生にしよう。
まず平凡な家庭に生まれる。
優しい両親、頭のいい兄、可愛いペット。
別にお金持ちじゃないけど、
不自由しない程度に裕福な家庭。
そして学校には友達がいる。
多くないけど少なくもない。
先生は親身になってくれる人。
学校全体が穏やかで平和。
学力はそこそこに。
運動もそこそこで。
適度にサボって適度に真面目に。
嫌われすぎず、好かれすぎず。
平均的な凡庸な人間として育つ。
普通がきっと1番幸せ。
きっとこの先も、
普通に進学して普通に就職して
普通に結婚して普通に子供を持って
普通に生きて普通に死ぬ。
それが1番いいハズだから。
幸せすぎないぐらいが
辛すぎないぐらいが、
きっと1番幸せだから。
だからそんな夢みたいな人生で終わろう。
【ハッピーエンド】
人の視線が怖い。
まともに目を合わせられない。
見られたくない。
知られたくない。
私がどう思われてるかなんて考えたくない。
私をどんな人間だと思うかなんて知りたくない。
見透かさないで、醜い私を。
【見つめられると】