みみ

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2/15/2024, 3:26:02 PM

〖10年後の私から届いた手紙〗

10年後の私から手紙が届いた。
消印が10年後なのである。

何とも奇妙なことだ。とても信じられるものではない。
しかし、手紙には見たことのない新100円玉や
10年後の日付の雑誌(まだあるんだ!)の切り抜き、
まだ存在しないお店のレシートなど、
証拠がこれでもかというほど添付されていた。

流石。私の性格を熟知している。

少しどきどきしながら手紙を開いた。
何があったのだろう。余程重大な出来事が起こったのだろうか。

しかし、文章は他愛のないものだった。
最近揚げ物がつらいから今のうちに食べておけとか、
そんなことばかりである。
未来に何が起こるかなどさっぱり分からなかった。

怪訝な顔で読み進めていくと、
手紙の最後に、私の筆跡でこう記されていた。

「これはタイムリープのテストである。
10年後まで大切に保管しておいて欲しい。」

なるほど。私が人生のネタバレをするはずがないと思っていたが、そういうことか。

私は、その手紙を大切にしまいこんだ。

たったひとつのネタバレ、
タイムリープの開発に胸を踊らせながら、
私はまた未だ来ぬ時へ行くのである。

2/14/2024, 11:37:05 AM

〖バレンタイン〗

色とりどりのチョコレートを、
僕は毎年横目に見ながら通り過ぎていた。

渡す人もいないし、
自分の為に買おうとは思わない。

けれども、そこはとても素敵で、
マーケティングとはすごいものだという顔をしながら、
僕は選んでいる人を少し羨ましく感じた。


今年、僕はきらきらした売り場に足を踏み入れる。

君は、何が好きかな。
どんなものを喜んでくれるかな。

どうかずっと、
この日にわくわくできますようにと願いながら、
僕はひとつ手に取った。

2/13/2024, 1:57:04 PM

〖待ってて〗

向こうに君が立っているのが見えた。
やわらかな光に包まれて、花びらが舞う中、
君がどんな表情をしているのか見えない。

もう少しで追いつくから、
もう少しで君を抱きしめてあげられるから、

もう少しだけ待ってて。

2/12/2024, 3:02:05 PM

〖伝えたい〗

あなたに、伝えたいことがある。
決していい話では無い。

あなたは優しい人だから、
きっと反省して、落ち込んでしまう。

あなたを傷つけたい訳じゃない。
けれど、言いたいことが言えなくなったときが、
おしまいのときなんだろうと思う。

あなたのことが大好きで、
これからもあなたと笑顔でいたいから。

あなたに、伝えたいことがある。

2/11/2024, 11:15:29 AM

〖この場所で〗

暖かな光が降り注いでいる。
足元には、柔らかな芝生と、まだ濡れている傘。

向こうに目を凝らせば、どこか懐かしい風景がぼんやりと浮かぶ。
反対側にも目を向けるが、なかなかピントが合わない。
しかし、なんだか楽しそうだ。

ふと、花びらが舞った。
そちらを向けば、ぼんやりとしていたものがひとつ、見えるようになった。
瞬く間に通り過ぎて、懐かしい風景に同化していく。
風が頬をなで、好きな香りがひとつ増える。

僕は、この場所で立ち続けている。

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