『冬になったら』
冬になったら、
大好きな暖かいコートに身を包み
友達からもらった手袋をはめ、
お気に入りのマフラーを巻いて
浮き足立つ 赤と緑のキラキラした街に
颯爽と出掛けよう
冬になったら、
口元にそっと手を当てて
やさしく息を吐き、
もくもくと白くなった 私の生きてる証を
見つめよう
冬になったら、
眠い目をこすりながら
勇気を出して、布団から飛び出し
春が来るのを疑わぬよう
朝日を眺めよう
冬になったら、
一年の中で
一番空気の澄んだ
夜空に浮かぶ
美しい月を
絵本をめくるように
祈りを込めて
じっくり仰ぎ見よう
あぁ 冬が来るのが
待ち遠しい
『狭い部屋』
生まれる時も、死ぬ時も
狭い部屋で十分
一畳あれば、大抵収まる
狭い部屋から始まって
狭い部屋で終わるんだ
狭い部屋と狭い部屋の間には、
その人それぞれの
海や山、川や谷、田園、花などの
自然、それから街が、
物語が、大きな世界が溢れていく
大きく、せかいに広がった風呂敷は
また、最後にはきちんと、端を揃えて折りたたんで
こころのポッケに仕舞い込み
このほしに、一礼するんだ
『月に願いを』
光を照らし輝く太陽は、生命力そのもののよう
朝という時間、それ自体に
生きとし生けるものたちを生み出すような
動的なエネルギーが満ちている
対する夜は、静かに、内側をじっと見つめるような
静的なエネルギーを宿している
闇夜に煌めく月は、生きとし生けるものたちに
慈愛を注ぐ 母性そのもののよう
だから今夜は、
子どもが お母さんに抱きつくみたいに
月に願いを 聞いてもらおう
朝と夜の価値は等しい
同じように
生と死の重さも等しい
月に願いを
月に願いを
月に願いを
どんな朝を過ごすかで
どんな夜になるかが決まり
どんな夜を過ごすかで
どんな朝が来るかも
決まるのだ
朝と夜は ひそかに繋がっている
だから、月にお願いしよう
希望の朝が来るように
勇気の夜を過ごせるように
『子供のままで』
『明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。』