この世界は不条理で溢れている
努力した人が報われなかったり
いい人ほどすぐ死んでしまったり
いくらもがいてもがいて生きていても
そもそもそのもがきに意味がなかったりする
だから私はよく
生きていたって何にもいいことなんかないだろうと
思ってしまったりするのだと思う
泣かないよ
たとえたばこがしけっても
泣かないよ
たとえアイスを落としても
泣かないよ
たとえあなたが消えたとしても
泣かないよ
たとえ私が死んだとしても
泣かないよ
たとえあなたが
抱きしめてくれても
泣かないよ
私はぜったい
なかないよ
なかない
鏡に映る私の瞳は
荒れ狂う心の海とは対照的に
満月のように安らかなものだった
眠れそうもない
こんな退廃的な夜に
ラークの12ミリ・ロングは
いつもと変わることなく
不鮮明な快感をじわじわと刺してくるのだった
過ぎ去った日々に思いを馳せる
深海にゆっくりと沈んでいくような感覚で
とても綺麗な人生ではなかった
多くの人と出会うことはできたけれど
その分多くの人と別れてしまった
ただ疎遠になっただけだったり
喧嘩をしてそのまま霞のように消えてしまったり
なんとなく過ごした日々は
とうに思い出になってしまった
きっと今過ごしているこの時間も
いつか思い出となって淡く溶けていってしまう
一本の蝋燭が燃え尽きるまで
ただぼんやりと火を眺めているだけ
そんな人生だと思う
いままでもそうで
これからもきっとそうだ
音楽を聴きながら
なんとなく煙草を吸う
ジョニーウォーカーのレッドラベルを
ロックで少しずつ
ふと窓を開けて
夜空の寂しさを指先で撫でる
生きている実感を鮮明に感じるために
私はずっと
変わらないまま
深海の底から抜け出せないまま
イソギンチャクと揺蕩いながら
夕暮れと夜明けを待っている
月が私を優しく包み込む
夜の端っこで夢を見る
絶えず働く信号機
気づけば根元まで燃え尽きた煙草
タクシーばかりが道路を走る
うたた寝をする街灯の下で
自分の影とバレエを踊る
少し遠くの空の色は
名残惜しそうな深紅の霞
このままここで
抱かれたままで
愛されたままで
小さく息をしていたい