私は今中学1年生。部活は吹奏楽部。
この中学には吹部の顧問の先生が4人いる。
音楽の先生二人と非常勤の先生。そして、2年のクラスを受け持つ英語の先生だ。
この先生の性格が..なんて入部当初は思わなかった。
今年の夏、私たち吹部は県の地方コンクールにでた。そのとき私を含めた4人の1年生は言ってしまえば雑用係をしていた。今から本番という時にリハ室のキーボードと台をその先生は1人の女の子に持たせた。私が手伝おうとすると、
[ひとりで持っていきなさい。]
と、誰でも重いと感じるだろう物をひとりで持つように言ったのだ。
その先生はそう言ってすぐにチューナーの入っている袋だけを持っていきスタスタと歩いて先に行ってしまった。
その女の子だけでは無い。その先生は先輩たちの水筒がほとんど入った箱もひとりで他のもう1人の女の子に持たせた。
私は内心、
(この重さを知らないのか。明らかに態度が違う)
そう思った。
私は先生が先に行ったあとその女の子たち2人と一緒に後を追った。残りのふたりの男子はスピーカーを2人で持って遠くに居た。だが大丈夫だと見て私たちは先に行かせてもらった。
その時だった。
キーボードと台を一緒に持っていた女の子が、キーボードを落としてしまったのだ。
まだそう遠くない距離に先生がいたので来てくれるかと思ったが。
来なかった。声もかけずにそのまま行ってしまった。
幸い他校の先生が通りかかってくれて心配してくれた。この先生に顧問になってくれないかと思った。
水筒の箱を持ちつつ、キーボードの方を見つつ私たちは先生の後を追うことを再開し、何とかたどり着いた。
そして本番が終わり、私は今度はキーボードと台を持とうとした。そうしなければさっきのようになると思ったから。
持とうとした時はその先生と音楽の先生1人がその場にいた。
だからか、持とうとしたらその置いていった先生は、
[重いから2人で持ちな!]
そう言って今度は2人に持たせた。
私はこの時、この先生二重人格だ。そう思った。ほかの先生がいるなら今だと。そう思い、力を込めてこう言った。
[先生理不尽すぎます]
現実でも言えたら良かったのに言えなかった。
この先生は今でも性格が変わらない。
なのにサックスは上手い。憎めないと言いたいところだが、きっと一生覚えているだろうな。
【力を込めて】5 kogi
ぼくは、いま、しょうがくいちねんせい!
ランドセルをせおって、みんなとおにごっこしてたのしんでる!
はやくちゅーがくせい?になりたいな!
僕は今中学1年生。
部活も始まって、勉強も小学生よりも難しくなった。友達と一緒に勉強したり昼休みにサッカーをして遊ぶのは楽しい。だけどたまに小学生に戻りたい。戻って鬼ごっこをしたい。
僕は今高校1年生。
高校受験も無事終わり、行きたい高校に入学できた。違う中学の人とも仲良くできているし、部活も楽しい。中学生では出来なかった体育祭などでの打ち上げをしたりして楽しい。だがやっぱり中学生に戻り、昼休みに遊んだりしてみんなと楽しみたい。
現在、僕は大学1年生。
大学受験から解放され、サークルの仲間と楽しんでいる。
だが、高校に戻りたい。戻って打ち上げをしたい。
でも今は高校に戻りたいとは別に、早く大人という大人になり、社会に出て働きたい。
現在、僕は成人し警察官になった。
正直きついことの方が多かった。だが、今は充実した生活を送れている。街のみんなを助けるために働いている。
でもやはり今でも学生時代に戻りたい。なぜなら今は
友達との鬼ごっこではなく犯人との鬼ごっこの方が多いからだ。
日本は平和だと言われているが事件が絶えないのは事実だ。
世界が平和になるよう、僕は今日もここで動いている。
だが過ぎた日を想えば色々楽しかったんだと
そう思う。
【過ぎた日を想う】4 kogi
毎年7/28日。 僕は夜空を見上げる。まるで 織姫と彦星のようなことだけど
この日だけ、大切な人に会えるんだ。
すごく楽しみで、 ワクワクが止まらなかっ た。同じ場所。
少し遠い裏山で僕は彼女─紗季を待っていた。今年も綺麗な紗季が見れるのだと、 心は徐々に高揚していた。
待ち合わせの時間になった。 でもたくさんの人で見えない。
でも彼女は特別な感じが するからすぐ分かった。
「今年も来たぞ」
僕がそう言うと
「ありがとう」
と聞こえた気がした。
僕はその瞬間涙が溢れ出た。 だが、紗季と会える時間も終わり僕は家路についた。
今年も綺麗だったな。
「紗季のしし座流星群。 」
【星座】3 #third-story kogi
私はダンスは嫌いだった。
きっかけは中2の体育の授業。
2人1組で創作ダンスを踊ることになった。
私はその時一番仲が良かった裕心と組んだ。
まずは課題となった曲を聴き、そこから振り付けをつけていくものだった。
幸いにも裕心はダンスの経験があったため、スラスラと振り付けていった。ダンス未経験の私にとっては心強かった。
そうして発表の時、みんなの前で2人で踊った。
そのとき、周りからクスクスと笑い声が聞こえてきた。
<若歌のやつ下手くそやん笑>
<ただの引き立て役〜>
などの声も聞こえた。私は苦しくなって逃げ出したくなった。それでも裕心は何も触れずにそのまま踊り終えた。
その後は覚えていない。裕心は気付いていたのだろうか。でもこの時はそんなことも考えたくなかった。
そして現在-私たちは高2になった。
すると突然しばらく動きがなかった中2のグループLINEからの通知が来た。
見てみると、あの時のまとめ役のような存在だった人が送った
[久しぶりにみんなで集まろーぜ]
という文面を見た。
私はそのとき何故かダンスのトラウマを思い出してしまった。
また何か言われるのだろうか。
そう考えると行きたくなくなったが、誰も覚えていないだろう。その一心で行くことにした。
約束の校舎の近くにあるファミレスで集まった。
裕心とは高校は離れてしまったため久しぶりに会えるのが楽しみだった。
そしてみんなが集まると真っ先に私に声をかけてきた人がいた。
裕心だ。
[ねぇ、若歌だよね!久しぶり!]
そう声をかけてくれた。
[うん!久しぶり!]
と返した。
そうすると裕心は口を開いた。
[ねぇ若歌。会ってからそうそうごめんなんだけどさ]
そう言った。私はあいずちを打つ。
[また、2人で踊らない?]
私はびっくりした。中3のときも仲が良かったからずっと話していたが、ダンスの話題などまっさら聞かなかった。でも、私はすかさず
[うん!踊ろ!]
そう返した。ダンスのトラウマはある。だけど、裕心と踊るなら全く関係ない。そう思った。
[私、知ってたんだよね。中2の発表のとき、若歌が辛くなってたこと。ずっと言えなくてごめんね。]
そっか、気づいていたんだ。やはり裕心は気づくのが早く優しい私にとってアイドルのような存在だった。
それから数年後。私たちは今、ステージの上で踊っている。
裕心にあの時誘われていなければ、私がここに登ることはないと思っていた。
私は後悔などしていない。トラウマなんて気にしない。
私が選んだ道なのだから。
【踊りませんか?】2 #second-story kogi
今日も彼女-楓華が笑顔で話しかけてきた。
[おはよ!]
[よっ]
[いつでも冷たいなぁ真斗は]
[しょーがねぇだろこれが普通だ!]
ドヤッ
[ドやるとこじゃなくね?]
[ハイ、スンマセン]
楓華とは幼なじみだ。小学生からずっと一緒にいる。
いつも通りの高校での日々。これがずっと続くと思っていたのに。
今日も普通の授業を受ける。HRの時間だ。
[はい、おはようー]
担任の先生が教室に入ってくる。
[まずはお知らせがある]
先生は入ってきてそうそうに話し始めた。
その後目線を楓華に向け、何かを察したように教卓の前へ行き、先生と並んだ。
[えー、一学期の最後、楓華が転校することになった。残りわずかな時間ではあるが、最後まで仲良くしろよー]
いきなりで驚いた。ずっと一緒に居たのに急に離れてしまうことになるなんてきっと誰でも悲しいはずだ。
俺は頭の中がいっぱいになった。
そんな思考回路を遮るようにして楓華が話し始めた。
[短い間、お世話になりました。残り少ないですが最後までよろしくお願いします。]
いや、これは夢だ。そう思いたくなる程の事が今目の前で起きている。そう思っていると
[じゃあ、今日は特にお知らせは無いんで、一限の用意しろー]
と先生がHRを終わらせた。
これからの日々、大切に過ごそうと思った。
その日々は瞬く間に終わっていき、とうとう一学期の終業式になってしまった。
俺はこの日々で気づいた。
彼女ー楓華のことが好きだ。この思いは必ず伝えようと思った。
時の流れは早く、もう帰り道。
最後だけはと思い一緒に帰った。
[ねぇ真斗]
俺はびっくりした。でもしっかりと答えた。
[どうしたの?楓華]
そう返すと、歩く足を止めゆっくりと話し始めた。
[私ね、真斗のことがずっと好きだったの。
大好きだった]
突然の告白に俺は今度こそ思考回路が止まった。
俺から言おうと思っていたことを急に言われて驚く人はいないはず、そうだ、きっと...
そう思いながら俺はあいずちを打つ。
[付き合って、くれますか?]
その問いに俺はすぐ
[よろしくお願いしますっ!!]
そう答えた。その瞬間俺の青春がようやく始まった気がした。
[よかった...ありがとう]
[こちらこそ]
[じゃあ私こっちだから]
[あぁ...じゃあな!]
もう終わってしまうのか。そう思った瞬間
[あっ、待って!]
そう引き止められた。俺は止まった。
[また、いつか会おうね]
[絶対な!!]
[うん!!]
そう言って最後の帰り道を別れた。
もう会えない、そう思っていた俺にとって楓華の言葉はとても嬉しかった。
どこかで会えないだろうか。そう思った。
それから5年後...
俺はコンビニでアルバイトをしている。
たくさんの客が行き交う中、俺はびっくりした。
そこに楓華がいるのだ。大人びていて一瞬分からなかったが、明らかに楓華だ。
レジに来た瞬間俺は聞いた。
[あの、違ったら大変恐縮なのですが...]
[はい...なんでしょう?]
[柊 楓華さんではないですか?]
[やっぱり...真斗!?]
合っていた..俺の予想は...そして覚えていてくれたんだ...
[またこの後会える?]
そう聞くと楓華は
[うん!]
そう答えてくれた。
運命は人を裏切らないー巡り巡って会えるんだ
【巡り会えたら】#1-first-story kogi