『静かな夜明け』
暗闇の中 ただ歩く
そこで聞こえる音がある
己の鼓動か足音か
息づかいか耳鳴りか
私は私のわだかまり
あなたはあなたのわだかまり
その人だけの傷を持つ
他人(ひと)には軽く見えるけど
この世で最も「おもい」モノ
迷う場所もみんな違う
それは田舎の細道か
電気の消えた都会の真ん中
誰もいない店の中
静まり返った病棟か
大きな桜の木の下か
あなただけの 迷いの森
静寂の中 朝が来る
あらたな アナタが 目を覚ます―――
〜シロツメ ナナシ〜
50
『heart to heart』
「はい!じゃあもっかい言って」
……す……き……です…
「もぅ全然ダメ〜もっかい!」
…スキデス……
「照ーれーすーぎ!もっかい!」
…す、すきです!
「ん〜 マシになったけどもっか〜い」
…って、まだ言わせんのかよ!
「当ったり前でしょ〜
どれだけ待ったと思ってんの〜?」
…だって…それは…
いつもサラッとしてるから…
「伝わらないあなたが悪い〜
はいもっかい!」
…す、ずっとすきでした!
「ん〜!/// …足りないからもっかい!」
…すまん!俺が悪かったから…
今日は…今日はもう勘弁してくれ〜//////
「だーめ!やり直し〜♪」
あ、あと……この手も…
「ぁーそれは もーっとダメ〜
はーなーさーなーい〜!」
(これ…もしかして長年の仕返し…!?
俺には…俺には効きすぎる…!
照れで死にそうになる日が来るなんて…!)
〜シロツメ ナナシ〜
49
『永遠の花束』
誰もが憧れる永遠
それは探せば探すほど
見つからない
私もそう
今もずっと探してる
だけど見つけたその全て
この両手から少しずつ
こぼれていること無くして気づく
私の大切 人に届かず
探せど探せど見つからず
心に咲いてる花は無し
枯れて萎れて土に逝く
雨降り土踏み繰り返す
いく年月超え今がある
忘れた頃に花が咲く
私の育てた今日までの
花の数だけ種がある
時を超えて全て咲く
心に咲くは夢幻の花束
されど二度と かれること無し
私は探す――次なる種を―――
〜シロツメ ナナシ〜
48
『やさしくしないで』
「大丈夫?」
……別に…
「どうかした?」
……こないで…
「具合悪い?」
……なんでもない…
「何かあった?」
……ほっといて…
「チカラになれない?」
…いい加減にして!!
「……!」
これ以上……構わないで…
もう傷つけたくないの……
……だから…………
「………だとしても…」
……―――、
…お願い……これ以上は
…………やさしくしないで…
――――――本気にしちゃうから
「……じゃあ、そばにいるね」
…………―――――――――!
〜シロツメ ナナシ〜
47
『隠された手紙』
犬や猫は言葉は無い
…まぁ極々一部に例外はいるけど…
基本喋ったり出来ない
症状が出てから
初めて病院に行って
わかることの方が多い
今回は先生に言われた
「トイレを見てみると、
分かるかもしれませんよ」
その日から僕は
この子のトイレの様子や
オシッコとかの状態を
なるべく見るようにしてみた
普段の量、
今日は少ない、
今日は硬そうな便
今日は匂いが…と、
…そっか
トイレって
この子達からの
とっても大切なお手紙なんだね
――今日も僕は
この子のお手紙を取りに行く
ん、教えてくれて ありがとね
〜シロツメ ナナシ〜
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