テーマ:開けないLINE #292
開けないLINE
あなたのLINE
開いたら既読になっちゃうから。
通知がもう来なくなっちゃうのは嫌だから。
あの日、私がこのLINEを開いていたら、
なにか変わっていたんじゃないかって
それを忘れないために。
私のLINEの通知1。
あなたからの最後のLINE。
テーマ:不完全な僕 #291
不完全な僕でも完璧を演じられるかな。
僕は君に問いかけた。
完璧なんて誰でもできる。
君は答える。
でも不完全な君は君にしか演じることができないよ。
完璧を求めるのは簡単。
でも不完全なことは悪いことなのか?
間違いやミスが悪いことなのか?
すべてが完璧なんてさ……
きっとつまらないよ。
テーマ:香水 #290
あ、この匂い……
俺はふと振り返る。
いつもこの匂いがすると思わず振り返ってしまう。
この匂いのする香水を君がつけていたから。
君を探してしまう。
もうここにはいない君の影を。
どこの香水なのかもわからない。
もう一度、君に会える奇跡なんて存在するのか。
頭ではわかっていても体が反応してしまう。
それもこれも全部君のせいだ。
僕に何も言わず去ってしまった、
君のせいだ。
テーマ:言葉はいらない、ただ…… #289
言葉はいらない、ただ……
愛が欲しかった。
ごめんなさいとかそういう言葉じゃなくて。
私の手を握って笑ってくれたり、
絵本を読み聞かせしてくれたり、
歌を一緒に歌ってくれたり、
料理を一緒にしたり……。
それがなぜ、
他の子にはあって、
私にはないんだろう。
そう何回考えただろう。
それは私が悪い子だから?
それは私が『お荷物』だから?
それは私が……嫌いだから?
私が何が悪いことしたなら、
私はごめんなさいって謝ります。
でも、そうじゃないんだったら。
私は愛が欲しかった。
言葉はいらない、ただ……
それだけだから。
テーマ:突然の君の訪問。 #288
突然の君の訪問。
焦った。
急に玄関チャイムが鳴って出てみれば、
そこには上目遣いの君がいた。
来るという電話もメールもされてないから
部屋もきれいにしていないのに、
何故か君は今、
僕の隣にベットの上に座っている。
思わず僕は言った。
「何で?」