狼星

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6/3/2023, 1:07:45 PM

テーマ:失恋 #202

「ごめんなさい。他に好きな人がいるの」
私は今日、好きだった子にそう言った。
「そっか」
そう言って無理に微笑んでいる彼を見て、
胸が苦しくなった。

私が返事をしたのに。
断ったのに。
何でこんなにも罪悪感が残るのか。
私には分からなかった。
好きな人が別にいるのも事実。
でも彼のことを恋愛対象として、
見られなくなったのも事実。

私って我儘だなぁ。
我ながらに笑えてくる。
あ〜あ。
あの子がどうしようもない子だったら良かったのに。
私が好きになんてならない、
大嫌いな子だったら良かったのに。
そうしたら
未練なんて残らなかったのに。
未練、未練かぁ……。
あれ、どうして私……。
泣いているんだろう。
おかしいなぁ。
フッたのは私なのになぁ。
やだやだ。
どんどん欲にまみれていく自分が。
私失恋したんだなぁ。
割と初めてかも。
私の好きな人に好きな人がいても、
こんな感情生まれなかったのに。

こんな感情知りたくなかった。
こんなに恋が苦しいだなんて。

6/2/2023, 1:31:21 PM

テーマ:正直 #201

正直者が疑われる世界なんて嫌だ。
嘘つきがのうのうと暮らしている世界なんて嫌だ。
そう思っていた。
でも、
俺が住んでいるこの世界はそういう世界だった。
嘘つきなんてそこら中にいて、
誰が正直者かなんてわからない。
騙し騙され生きていく。
それが普通だと思っていたんだ。
君に会うまでは。

6/1/2023, 11:59:23 AM

テーマ:梅雨 #200

「梅雨が今年は早いねぇ」
おばあちゃんが言った。
確かに早いかもしれない。
明日は警報級の大雨が降るらしい。
「神様が子供なのかしら」
「どういうこと?」
僕のおばあちゃんは時々、不思議なことを言う。
「神様が子供だから泣き虫なのかもね」
子供が泣き虫なのはわかる。
でもなぜ神様が子供だと?
「あら、ショウちゃんは知らない? 
 雨って神様の涙なのよ?」
僕のおばあちゃんは、まるで空想の世界の住人だ。
僕が知っている原理で動いている世界と、
おばあちゃんの思っている空想の世界の原理は違う。
「おばあちゃん、違うんだよ」
僕が決まってそう言うと、
おばあちゃんはフッと微笑んだ。
「ショウちゃんも大人になったのね」
遠くを見つめ、
そう言ったおばあちゃんは何処か寂しそうだった。
「現実ばかりはつまらないわ」
そう呟いたおばあちゃんを僕はじっと見つめた。
おばあちゃんは不思議な人だ。
梅雨が来ることよりも不思議な人だ。

5/31/2023, 2:14:22 PM

テーマ:天気の話なんてどうでもいいんだ。
             僕が話したいことは #199

「今日はなんだかジメジメしているね」
「……えぇ。そうね」
クラスに居る女子に話しかけた僕。
僕に話しかけると彼女は警戒心MAX。
僕が声をかけてこんなに警戒心を出されることは、
今までなかっただろう。
「えっと……」
話題を探すが出てこない。
彼女は話しかけないでよと、
言わんばかりに睨みつけてくる。
違うんだ。
天気の話なんてどうでもいいんだ。
僕はが話したいことは……。
君と気軽に話したいだけなんだ。
それなのに言葉が出てこない。
「ジメジメしているけど……。午後は晴れるそうよ」
彼女はそう口に出すと行ってしまった。
どうでもいい天気の話なのに。
君と話すきっかけをくれたのは、
天気だった。
窓から光が差し込んだ。
朝は雨がポツポツ降っていたのに、
雲の間から太陽が顔をのぞかせている。

5/30/2023, 1:37:35 PM

テーマ:ただ、必死に走る私。何かから逃げるように。
                       #198

ただ、必死に走る私。
何かから逃げるように。
その何かは、
見えるものなのか、
はたまた見えないものなのか。
実体があるのか、
ないのか。
なにかに怯えながら逃げる私。
急に目が冷めて冷や汗をかいていることに気が付く。
外はまだ暗く、
夜はまだ明けていない。
何に怯えているのか。
何に必死なのか。
何から逃げているのか。
いつもわからないまま目が覚める。
それは、なに?


♡2600ありがとうございます(^^)

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