『既読がつかないメッセージ』
ポン ポン
「ふぅ」
私はやっと頼まれたメッセージを送り終えた
「あぁ疲れたぁ...」
思わず伸びをしてしまうくらい肩がこったと思う
ふと気がついた
あれ?彼のアカウントまだ残ってるじゃない
ひらくと今までの私達のしょうもない会話がたくさんならんでいた
「懐かしっ...」
ふとした瞬間にポン ポンって送信して
何気ない会話をしてたよね
ついいない相手にメールを送信してしまう
『だいすき』
それだけ伝えたかったのに
既読はつくはずがない
『既読がつかないメッセージ』
『秋色』
木の葉が秋色に染まってこようとしている
ほら、上を見上げれば
あか きいろ おれんじ
少し茶色がかっているのもある
でも私の心は?
ずっと夏のまま
あの夏の残酷な日の心のまま
忘れられるわけないじゃない
いつまでも私の心には傷が残っているの
とても深い傷が
絶対に許しはしない
犯人に復讐すれば
私の心もこの季節に追いつくだろうか
でも季節は、秋の色は私を追い越して
私よりも先に冬の色になる
もう 無駄なのだろうか
『秋色』
『靴紐』
「あっ!」
よそ見をシながら歩いていると
小石に躓いて
転んだ
あれ?こけるとこんなに痛かったっけ?
あぁそうだ
思い出した
いつも彼が受け止めてくれてたんだ
私がおっちょこちょいだから
でももう受け止めてくれることはない
なんて酷い世界
残酷だな
もういいや
そう思った瞬間
ほんとに大きく転び
私は病院に運ばれた
原因はなんだっのか
靴紐が私に意地悪をしたのかもしれない
『靴紐』
『答えは、まだ』
「ふぅ」
今日の仕事を終えいったん落ち着く
まだ答えはでていない
彼を殺したのは誰だ
はやく
答えをだして
願っても無駄
何十回も何百回も
願ったのに何も起こらない
ねぇ
はやく
答えはまだなの?
『答えは、まだ』
『センチメンタル・ジャーニー』
「はぁ」
1週間前
私は彼を失った
なにもしていないのに
ただ生きていただけなのに
殺された
私の心にものすごく深い傷ができた
その傷を癒やすために
いま旅に出ている
彼とはまだ旅行に行ったことがなかったな
行ってみたかったな
でも私の願いは一生叶うはずがないんだろう
私は重い足を引きずるようにして空港を出た
『センチメンタル・ジャーニー』