縦走

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10/20/2024, 1:28:54 PM

英語の授業でペア学習があった。週明けや長期休み明けに互いが何をしたのか話すのだ。英語ではなくて日本語で話していた。英語も単なるコミュニケーションツールで、話すことがこの授業の目的だと言いたかったのかもしれない。英語の授業は席替えをしなかったから一年間同じ人とペアを組んでいた。話しかければ答えてくれないこともないが、向こうから話題を切り出してくれたことはない。私は毎度「先生なんて言ってたっけ」だなんて恍けた様に話し出して焦りをごまかした。受験生だったので演習の期間に入るとそのアクティビティは無くなった。もっとどうでもいいことを話せれば良かったなって今は思う。

10/19/2024, 1:38:08 PM

恋人に言えないことがあった。言わないのはフェアじゃないと思って、言える範囲で話しをした。でも、その部分だけを話しても言葉が軽くて、深刻に受け止めて貰えなかった。自分が爆弾を抱えてるだなんて言えないから「私の抱えてるものが、君に危害を加えるかもしれないんだよね」なんて言ったら「大丈夫だよ、一緒にいるよ!」だなんて返ってくる。後々には「そんな話言ってたっけ?」なんて言われちゃう。きっと、ちゃんと伝えたほうがいい。別れを切り出されたとしても、ちゃんと傷ついた方がいい。苦しくて取り返しがつかないことを、過去の自分がしてしまったことを、自分だけは自分を見捨てないであげて。

10/18/2024, 10:07:10 AM

秋晴れで西には雲もなく彗星が見頃だった。近くの高校の屋上には生徒が集まっているようだった。ここら辺は都会だからマンションやアパートの明かりが目立つ。私も自宅の屋上に上がるがやはり都会の空だった。私は田舎出身で高校に進学するまで星空を贅沢だと思ったことはなかった。八万年に一度の彗星とやらを見れないことも悔しいとまでは思わないが、自ずと馴染みのある空との序列をつけてしまうようだった。

10/17/2024, 10:36:20 AM

子供の頃、うちはお小遣い制じゃなかったから友達と遊ぶお金は毎度請求しなくちゃいけなかった。アイス食べるからって言って母にお金を貰った。ただ自分がアイスを食べたかっただけだった。私は母に怒られた。母は友達もお金を持っていて一緒にアイスを食べるのだと思っていたからだ。今思えば、1人だけアイスを買う行為は幼少期の友人関係において異端だったろう。母は私に友人もアイスを食べるのかと確認したそうだ。私は全くその記憶がない。訳が分からず怒られている気持ちだった。大人になった今、自分だけが買っても、友人だけが買っても、互いに気にならなくなった。羨ましさが薄れたのだろうか。うまく言葉にできないが、あの時の出来事が忘れられない。

10/16/2024, 10:14:11 AM

家にいる時間が短くなってから、朝が忙しくなってから、やわらかな光を見かけなくなった。カーテンを開ける前に、電気をつけてしまう。そんな生活は合理的だが何かが欠けているような気がした。朝日で目が覚めることは理想的なのに、ほとんどの朝には鬱陶しいと感じてしまう。あの光を楽しむために、光で起きれてよかったと思えるために、私は準備をしなければならない。理想に近づきたいと言いながら跳ね返すのはとても理不尽すぎる。楽しむための準備。朝日が心地良いと思えるように私は今日も瞼を閉じる。

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