しののめ

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12/8/2024, 10:47:03 PM

 助けてくれて
 ありがとう

 そう 言いたかった

 小説やドラマのような
 ありきたりなことを思う日が
 くるなんて

 道の端にそっと
 花束を置く

 黒い羽が
 すぐ側に落ちた

 もしかして と思ったけれど
 そんな筈はないだろう

 あの鳥は 自分を庇って
 目の前で ーに
 ーーーーーだから

【ありがとう、ごめんね】

12/6/2024, 11:50:22 AM


夕方の公園
誰もいない時は 決まって
逆上がりの練習

全然できなくて
鉄棒を握る手が 痛くなる
怖いのか 勢いが ないのか
どちらも だ

頭が下で 足が上
腕と腹で保つのが
不安で怖い

もう一度 足を蹴り上げる

近くの木から 鳥の大群が
飛び出してきて 
思わずびっくりする

気がついたら
両足が空を踏んでいた

【逆さま】

12/5/2024, 11:45:05 AM

 本を読む者にとっての一日は

 朝活という名の
 朝読書

 意識高く 資格の本や
 自己啓発本を眺めて
 シャキッと させてみる

 通勤通学途中の 読書
 バスや電車にて
 お気に入りの
 ブックカバーをかけた文庫本
 なんだかんだで 一番
 集中できる時間かもしれない

 昼休憩
 隙間時間の 読書
 一文字一行一文が貴重に思える
 読み終わりの区切りがつかなくて
 仕事や勉強が手につかないことも

 余暇時間の 読書
 好きなシリーズものや長編に耽る
 
 物語が進み 
 気持ちが盛り上がると
 夢中になってしまう

【眠れないほど】

12/3/2024, 11:13:21 PM

 祖父母の家へ行く途中の
 フェリーで出会った あの子

 甲板で海を眺めていたので
 声をかけた

 名前も知らない

 けれど私たちは
 すぐに仲良くなれた

 海を眺めたり
 人形遊びをしたり
 部屋と部屋の間の通路で
 かけっこをしたりした

 一泊二日の船路は
 あっという間で
 やがてフェリーは港へ着いた

 私とあの子は
 別々の目的地を目指して別れた
 またね と 言ったら
 あの子も またね と
 手を振った

 何十年も前のこと
 写真も何も残っていない
 想い出だけの 思い出

【さよならは言わないで】

12/1/2024, 10:26:06 PM

 どんなに遠くにいたって
 地球の反対側にいたって
 同じ空を見上げているから
 心はゼロメートルだから
 
 そう言った君を
 いつまで信じて良いのだろうか

 君の名前が刻まれた
 石の柱に向かって
 僕は問いかける

【距離】

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