多分というか、完全に主観ではあること。
漫画でもアニメでも小説でも創作物なら何でも良いと思うが、主人公やその周りのキャラクターより、主人公の遂に存在する、ライバルや敵などの方が読者の感性に響く。要は人気が出るような気がする。少なくとも自分はこれまで触れてきたジャンルを振り返ってみても、ライバルや敵ポジションのキャラクターに惹かれている傾向にある。
人気があるとなると、大体のジャンルは何をするかというと、スピンオフという名の別の物語が出来上がることがある。存在意義の賛否は正直分かれるとは思うが、自分は結構好きだ。本編主人公を別視点で見ることができたりするからである。
【もう一つの物語】
ここへ来て
どれくらい経っただろうか
埃を被り
ほつれた布やはみ出た綿は
そのままに
僕の周りには同じような
境遇の仲間が
無造作に積み重なっている
部屋の明かりも
あの子の手の感触も
遠い 遠い 記憶の中
【暗がりの中で】
ふとした瞬間に
頭をかすめる
ありし日のこと
子供のころに遊んだ
あの場所と友人たち
顔も名前も記憶が滲んで
殆ど朧げだが
確かに存在する思い出
けれど 段々と
記憶が溶けていく
歳が経る度 重なる度に
そんな感覚に手を伸ばしたくなる
【行かないで】
蒲公英が
白色になっている
地面に落ちている
蝉の抜け殻
紅葉が赤く染まる
雀の羽毛が
ふっくらとする
私も自然も
【衣替え】
頭の中でリフレインする
あの歌
決して明るい曲ではないけれど
ぽっかり 空いた心に
寄り添ってくれる
満たされなくて喉が渇く
乾いた胸に 落ちる一雫
この一滴のために
僕は 走り続ける
ギターの弦を弾く手が
もつれそうになる
通り過ぎる人々は
誰も見てくれない
それでも 道の端で
歌い続けたい
【声が枯れるまで】