しののめ

Open App
10/28/2024, 10:54:04 PM

 ここへ来て
 どれくらい経っただろうか

 埃を被り
 ほつれた布やはみ出た綿は
 そのままに

 僕の周りには同じような
 境遇の仲間が
 無造作に積み重なっている

 部屋の明かりも
 あの子の手の感触も
 遠い 遠い 記憶の中


 【暗がりの中で】

10/25/2024, 3:51:00 AM

 ふとした瞬間に
 頭をかすめる
 ありし日のこと

 子供のころに遊んだ
 あの場所と友人たち

 顔も名前も記憶が滲んで
 殆ど朧げだが
 確かに存在する思い出

 けれど 段々と
 記憶が溶けていく
 歳が経る度 重なる度に
 そんな感覚に手を伸ばしたくなる

 【行かないで】

10/23/2024, 3:57:02 AM

 蒲公英が
 白色になっている

 地面に落ちている
 蝉の抜け殻

 紅葉が赤く染まる

 雀の羽毛が
 ふっくらとする

 私も自然も

 【衣替え】

10/21/2024, 10:41:48 PM

 頭の中でリフレインする
 あの歌

 決して明るい曲ではないけれど
 ぽっかり 空いた心に
 寄り添ってくれる

 満たされなくて喉が渇く
 乾いた胸に 落ちる一雫
 この一滴のために
 僕は 走り続ける

 ギターの弦を弾く手が
 もつれそうになる
 通り過ぎる人々は
 誰も見てくれない

 それでも 道の端で
 歌い続けたい

【声が枯れるまで】

10/17/2024, 3:23:45 AM

 何のために願い
 何のために祈るのか

 見下ろす度に疑問に思う
 
 絵空事に縋って
 心の拠り所にする

 愚かなのか哀れなのか
 私には分からない

 しかしそれで救われるのなら
 糧になるのなら
 私はそれに応えたい

 ある神の記述書
 第一部二章一節二項より
 
【やわらかな光】

Next