SNSが苦手だ
こちらが返したメッセージに
相手が既読だけで返された時
気が沈んだり　
イラついたり　
気になり出したり
無意識でしてしまうから


　　SNSが苦手だ
　　何故か頑なに絵文字を使わない人
　　異常に絵文字を使いまくる人
　　どちらも疲れてしまう

　　　　SNSが苦手だ
　　　　逐一連絡があったか
　　　　こまめに気にしないといけない
　　　　確認や返信のタイミングが合わないと
　　　　下手をしたら口煩く念を押されてしまう

　　　　　　SNSが苦手だ

　　　　　　　　　でも

　　　　　　　　SNSは楽だ
　　　　　　　　思い立ったらすぐ誰かに
　　　　　　　　繋がるから

　　　　　　　　　　　　　　【天国と地獄】

　　　　　水面に映る満月は
　　　　　ゆらり　ゆらりと揺れている

時折　通り過ぎる雲が
円のかたちを歪める

　　　　　わたしは
　　　　　水に映り込むそれを
　　　　　直に見ることはできないけれど

こうして足元へと見下ろせば
みることができる

　　　　　ああ　どうか
　　　　　生まれ変わることができるならば
　　　　　この目で　美しい　といいたい

　　　　　　　　　　　　　　【月に願いを】

大丈夫だよ、と
言ってあげたい

クラスに馴染めたくて
孤立感があった　あの時

三人友達の中で
自分があぶれていた　あの時

異性からの嫌がらせに
耐えていた　あの時

合わない部活動を
我慢して続けていた　あの時

親たちの罵声が響いていた　あの時



図書館だけが居場所だった　あの時


見えないところできっと
力になっているから


【あの頃の私へ】

　　　　　スマホを取り出す

　　そういえば
　　　　今夜は好きな配信者の配信日だ

　　ああ　あと
　　　　気になっていた
　　　　アプリゲームのリリース日だ

　　それから　そうそう
　　　　好きなバンドの新曲も
　　　　ダウンロードしないと

　　それから　ええと
　　　　あの漫画の続きも
　　　　電子で買わないと

あれもこれもと考えながら
アプリを起動した

あれ
何か端末が熱いな

あ

　　　　　　アプリが落ちた

手が焼けそうになりながら
画面を押し続ける

ああ　そうだった

　　　　　　更新　してない

　　　　　　　　　　【逃れられない】

　　　　　　日が落ちて夜になった

　　　　　　重たい上着
　　　　　　窮屈なシャツのボタン
　　　　　　締めたズボンのベルト
　　　　　　革靴とくつした
　　　　　　
　　　　　　　　　全部緩めて布団へ沈む

　　　　　　足も　腕も　腰も
　　　　　　　　　深く深く潜っていく

　　　　　　　　　瞼が鉛のように重たい

　　　　　　うつら　うつら
　　　　　　まどろみが心地よい

　　　　　　もう今夜はこのまま
　　　　　　　　　　　　　　【また明日】