お前がすぐ側にいて、聞いたこともないような甘ったるい声で、愛を囁いてくる。
これが夢でなければ何だろうか。
夢でなければ、
夢で、なければいけない。
違う。こんなのお前じゃない。解釈違いも甚だしい。
何故?何故俺にそんな言葉をかける?
お前がその言葉をかけるべき人は他にいるはずなのに。
お前はずっと他のヤツを想ってた。
俺はそんな一途なお前が好きだった。
振り向かないと分かってるからこそ、苦しいけど、愛することができた。
なのに、その人を差し置いて、なぜ俺に寄ってくるんだ。
普段、俺のことも大切にしてくれてるのは分かってる。分かってるけど、それとこれとは方向性が明らかに違うはずなんだ。
こんな関係になることなんてあり得ない。
その「愛」を向けるべきは俺じゃない。
夢でなければいけない。
ただのおかしな夢で完結するべきなのに、なんで、
【夢じゃない】
______
愛の形。
ふらふら彷徨っていた針先が、気づいたらお前のほうばっかり向くようになって。
ああやっぱり、お前と生きることしか考えてないんだなって。
【心の羅針盤】
______
お前がいる方向にしか、俺の進む道はない。
「またな」って言って別れたアイツと5分も経たずに再会した。ウケる。
【またね】
水中の泡が好きだ。
わらわらと舞い上がる、幻想的な風景。
水面で弾けたり、水中で溶けるように消える儚さ。
この世界で一番綺麗なものだと思う。
そんな泡に、俺がなったら、
アイツもちょっとは、こっち見てくれるかな。
あ、でも、見てくれたことに気づく前に俺消えちゃうか、はは。
それはちょっと悲しいかな。
【泡になりたい】
夏が帰ってきたので、自分の家に閉じ込めた。
世界は涼しくなった。
昼は涼しい外を歩いて、夜になったら夏のところに帰る。
いつでもじりじりとくすぶっている、あの夏のところへ。
『ただいま、夏。』
「何この夢…」
やはり寝苦しい夜はろくな夢を見ない。
タイマーで切れていたエアコンをつけなおした。
【ただいま、夏。】