「初日の出見ようぜ!あ、写真も撮りたい」
相棒にそう言われ、深夜から連れ出された。
仕方なく、初日の出を待つ。
眠たい目を凝らし、あくびを我慢し、ひたすら空を見つめる。
外に出てからどれくらい経っただろうか。
日の出の時間くらい調べてから来てほしかったものだ。寒すぎる。
そう思いながら、凍えそうな身体を必死に温め、光を待った。
日の出。
目の前に強い光が差した。すかさずカメラのシャッターを切る。
隣は何もしゃべらない。おおかた太陽の美しさにやられているんだろう。
気にする暇もなく、シャッターを切り続ける。
太陽が完全に姿を現したところを最後に捉え、一息ついた。
その直後、肩に何かが乗った。
驚いて見ると、すやすやと眠る相棒の顔。
寝てやがった。言い出しっぺのくせに。
心底呆れて、すぐにでも叩き起こそうと手を伸ばしかける。
…あ、でも。
初日の出に照らされた寝顔。
いつも見ている顔とは違う、あどけない顔。
なんか、ちょっといいもん見れたかも。
そう思いつつ、寝顔にカメラを向け、シャッターを切った。
【日の出】
いい年にしたい。みんなが思うこと。
しかし「いい」は人それぞれ。
だから、自分は自分の「いい」年を、あなたはあなたの「いい」年を、過ごせますように。
【新年】
潰しかけたビールの空き缶の上に、みかんを乗せる。
そして口に出すは、あのフレーズ。
「アルミ缶の上に、あるみかん…」
【みかん】
________
みかんも話も、おちなかった。
「手ぶくろより俺の方があったかいに決まってる」と言い切った君。
だから今日からは君の手が、手ぶくろの代わり。
今さら取り消そうとしてもダメだよ。
これから毎日手を繋ぎにいくから。
【手ぶくろ】
生きていくうえで、周りのものは少なからず変化を続ける。
一本の木が茂らす葉の数も、道路のヒビも、部屋の内装も、人間関係も、変わっていく。
そして、そう。この気持ちも。
時が経てば経つほど、想いは深まるばかりだ。
もうそろそろ、吐き出すか捨てるかしなければならない。
自分も君も、抱えきれないほど大きくなる前に。
【変わらないものはない】