あ、
また間違えた。
こっちが正しい路だったのか。
何度も繰り返したバッドエンド。
どれだけ進んでも、結局は最初(タイトル)に戻される。
慣れた手付きで、間違えた選択肢の記憶(セーブデータ)を消す。
新しい人生(ニューゲーム)。
今度は間違えないといいけど。
【岐路】
「オレ、最悪の人間になる」
この世の全てを滅ぼしてでも、お前を守るから。
神に誓う。
毎日同じ言葉を聞かせてきた。
今までは何の反応もなかったが、やっと声が届いたらしい。
カプセルの中の彼女は、「ありがとう」と静かに唇を動かした。
【最悪】
この狭い空間で、二人寄り添って過ごせたら、どんなにいいか。
【狭い部屋】
失恋した。
気さくで、笑顔がかっこよくて、温かいひだまりのような人だった。
そう思っていた。
けれど蓋を開けてみればその男は生粋の浮気者で、私を含め5股していた。で、そのうち3人と子供を作っていた。
ブランド物をよく買ってくれていたが、もちろん全員同じものをもらっていたし、なんなら偽物もあった。
そんなクズみたいな男が、私の大嫌いな女とくっついた。
女からは「失恋おめでとう♡」と嫌味たっぷりに言われたが、むしろこっちが「クズのお世話頑張って」と言ってやりたくなった。
失恋した。けれど悲しくはない。清々した。
あんな男別れて正解だし、女が破滅に向かうのを高みから眺められるし、
何より、もっといい人を見つけたから。
【失恋】
あのさ、正直なこと言っていい?
大好き。
人としてというか、もう、存在が大好き。
「っていう告白されたんだけどさ、どうすればいいと思う?」
「え、返事してないの?」
「しようと思ったけど逃げられた」
「ああそう…」
「で、どうすればいい?」
「えっとー、まあ…うん、正直になればいいんじゃない?」
その後付き合った二人から代わる代わる惚気を聞かされるのであった…
【正直】