「また明日」
週末のデート。
そう言って別れる瞬間が、一番不安だった。
「明日」が、いつか来なくなるかも知れない、別れた後に何かあるかも知れないと考えてしまう。
もしそれが今日だったら、と。
会えなくなるのが、怖くて仕方がなかった。
だから、「また明日」を言われる前に、一緒に暮らさないかと提案してみた。
言った瞬間は変な空気が流れたが、その翌日から、「また明日」の後に別れることはなくなった。
【また明日】
透明。
あらゆる他の色を遮らず、存在しているのかしていないのかすら分からない色。
そもそも透明は色なのだろうか。
透明とはなんなのだろうか。
見える透明と見えない透明があるのはなぜだろうか。
宇宙ができる前の世界は、透明だったのだろうか。
透明という概念はいつからあるのだろうか。
答えの出ないことを考えるのはやめよう。
あなたが流す透明の涙が何よりも綺麗だから、なんだっていいじゃないか。
【透明】
真夜中になると、無性に会いたくなる人がいる。
夕方、帰り道で別れたばかりのアイツ。
なんでかは知らない。会いたいから会いたい。それだけ。
けど、突然会いに行っても、どうせ迷惑がられて追い返されるだけだから。
朝が来ればまた会えると言い聞かせて、今日も独り寂しく眠りについた。
【真夜中】
後悔なんて、何度しただろう。
あの時、そばに自分がいれば。
あの時、自分がかばってれば。
あの時、飛び出さなければ。
自分が、こんなに突っ走る性格じゃなければ。
自分の行動のせいで、アイツは何度も傷ついた。
その度に、これ以上ないくらい後悔して、自分を責め続けた。
けど、アイツがちゃんと生きているという事実だけで、その後悔も半減するから、不思議なもんだ。
【後悔】
そよ風。
通りすぎてくそれを感じながら目をつぶる。
ゆらゆら。
さらさら。
体が崩れて、同化して、流れていって…
あっ。ごめん。気づかなかった。
今ね、風になってたの。
【風に身をまかせ】