『好きな本』
お花畑にお姫様がいてそこに現れた白馬に乗った王子様と出会って結ばれる。そんなありきたりな物語がずっと大好きで、憧れだった。どんな人でもハッピーエンドになる!なんて嘘だと思ってた。
そんなボクのところに来たのは王子様いうにはお花畑が似合って可愛い、でもお姫様というには強くてかっこいい人だった。
その人はボクに向かって
「王子様というにはか弱い感じで、お姫様というには花似合わないね、ワタシと似てるね!」
と笑ったその笑顔でボクは虜になった
『あいまいな空』
連絡はまめにする、2人だけで遊ぶ
友達以上恋人未満なあいまいな関係
男女の友情はない、お互い都合いい関係
2人が会う日はいつもあいまいな空だった
なのに「この関係を終わらせよう」と言われた今日は
爽やかな快晴
『あじさい』
昔、婆さんと2人で傘をさしながら紫陽花を見ていた
雨に濡れた紫陽花は言葉を失うほど綺麗で美しかった
と病院の窓を眺めて言ったおじいちゃんはどこか切なそうに笑った
最近、雨が降ってると婆さんに会える気がして、天気予報を見てしまうんよ
おじいちゃんがあと半年ももたないことを知っている私は、"雨が降るといいね"としか声にならなかった
もっといい言葉をかけれたらまだ生きてたかもしれない、
なんて思いながら、私は雨の中お墓に紫陽花をそえる
『好き嫌い』
私は貴方が好き、貴方は私が嫌い
片思いで、友達未満な関係は毎日私に棘を刺す
貴方の笑顔が他の人に向けられる瞬間私は息ができなくなるほど大きく鋭い棘が私の心を刺す
あぁ、どうかこの恋が早く終われと願う
『街』
「今日僕はここから旅立って夢を叶える」
そう言って私の前から消えたあの人は今も元気だろうか
あの人の夢が叶えば良いなと青空を見上げて願う
「あの時、私も一緒に行くって言えば良かったな」
私は静かにつぶやいた。
「おい!姉さんがあいつと一緒に行ったらオレどうすんだよ」
びっくりして声がした方をみるとそこには弟が立っていた
弟はもう一度同じことを言った
「オレはどうすんだよ」
「私は、ここから居なくならないよ」
私は優しく微笑んだ
「オレ、姉さんが居なくなったら大変なんだからな!」
と言って走り去って行く弟を見て私は少しだけ安心した
農作業を終えて家に帰るとポストに封筒が入っていた
誰からか想像しながら封筒の中の手紙を読む
あの人からだ…
『俺は夢を叶えた田舎を出て、街で夢を叶えた。だから君に見てほしい。街においで俺と一緒に暮らそう』
そんな内容だった
そして手紙と一緒に写真が入っていた
返事しなきゃ…そう思い急いで手紙を書いた
街には、住めない。けど会いに行くね。
街は人を変えてしまう程の魅力で溢れている
その魅力は私にとっては敵かもしれない