あおいうみ

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8/12/2025, 3:45:51 AM

私がまだ小学生のころ、実家のとなりは親せきが経営するスーパーだった。
そのスーパーの中に、焼きそばやポテトなど軽食を売る小さなお店が入っていた。
お店の名前は「マック」

その頃は、100円持っていけばソフトクリームが買えた。
くるくるパーマのマックのおばちゃんが、くるくるとソフトクリームを作ってくれるのが、まるで魔法のようだと思っていた。

私の手に渡された瞬間、勝負は始まる。
今のところ10戦全敗というくらいの確率で、コーンからアイスが漏れてくるのだ。
すぐに柔らかくなるアイスクリーム用のコーンは、ピッタリと三角の紙におさまっていて漏れてくると、うまく引き抜くこともできなくなる。

必死で上のアイスクリーム部分を舐める。
楽しみな時間のはずなのに、夏場はすぐに溶けていきだんだんと手がベトベトになっていくのが分かった。
あ、まただめだった。
紙の下からは、白いアイスが液体になってしたたっている。
その日も最後は紙を破り、ふしゅふしゅになったコーンを食べた。次こそは!

今その場所にはコンビニができて、広い駐車場になっている。
そのコンビニのある場所は、私のこぼしたアイスクリームがたくさん染み込んだ、甘い甘い土地なのだ。
そう思うと、何だかくすっと笑いたくなった。