枯葉
私の目の前にある木々は、身につけていた葉をどんどん削ぎ落としていき、そして少しの時が経つと、枯葉となった葉が脱ぎ落とした衣類のように散りばめられていく。
まるで…人間の生活を表現しているようで面白い。
そう思った。
この話を君にしたら、首を傾げられてしまった。
そりゃそうか。側から聞いたら訳分からんこと言ってるもんな…
でも、それでいいんだ。
「君と話せること」これが一番重要だから。
今日でさよなら
「じゃあね!君も気をつけて帰るんだよ!」
そう言って、私は君の後ろ姿が見えなくなるまで手を振り続ける。
君のことを見送ってから、ふと力が抜けた気がした。
…確かに君と一緒に居て、緊張しているのはいつも実感している。
だけどここまで、表に出てくるほどだったとは。
大丈夫だったかな?私。
君と一緒にいた時、「汚い私」「醜い私」出てきてなかった?
ちゃんと…「綺麗な私」だったかな?
そんなことを、頭の中で考えてい続けたせいか頭が痛くなってきた気がした。
…私、たくさん考えるの苦手なんだけどね笑
そんな風にぼーっと過ごしていたら一通のメールが届いた。…君からだった。
「今日、体調悪かった?ちょっと疲れてるように見えたんだけど…大丈夫?」…だなんて気遣ってくれた。
気を遣わせてしまった。
…大丈夫って送らないと。君を安心させないと。
と思っていてもなかなかその気がおきない。
そんな風にグダグダしていたら、君からもう一通「電話してもいい?…なんか電話したくなっちゃって」ときた。
…どうしようか。君の声を聞きたいという気持ちもある。でも、今の私だと「汚い私」「醜い私」を君に曝け出してしまうことになる。
そう思っていても、やっぱり君の声が聞きたいから
「いいよ!」と返信する。
返信直後、君からすぐに電話がかかってきた。
「もしもし」と君の声。
私もすぐさま「もしもし!」と返事をする。
「どうしたの?急に電話かけてきてきちゃって。
…もしかして、私と離れて寂しくなっちゃった?笑」と冗談めかして会話を試みる。
「うん。そうだよ…寂しいよ。」と言われて、少しときめき、そして動揺した私がいる。
…動揺から返事ができずにいると、君からまた一言
「ねぇ、やっぱり今日…大丈夫じゃないでしょ?…いや、いつも本当は大丈夫じゃないよね?」なんて。
嘘でしょ。気づかれていたの?
演じていることがバレていたなんて…と思いつつも私は「そんなことないよ!いつも君と居ると楽しいし、時間忘れちゃうくらいだし笑
てか、今日も十分すぎるぐらい楽しませてもらったけど笑」と返事をする。
だけれど、君は「ねぇ、本当に僕と一緒にいて楽しいの?いつも、緊張してるように見えるよ」
…見破られていたとは。最悪だ。
「…凄いね。君は私のことすぐ見破るじゃん笑
そうだよ。緊張してるよ。でも、きみと一緒に居ることは楽しいよ。これは事実ね。」と返す。
「…そうなんだ。」と君から。あーあ私言っちゃった。君に曝け出してしまった。「汚い私」「醜い私」の一部を。…嫌われちゃった?幻滅されたかな?
そんな、ネガティブなことばかり考えていたからか涙が出てきてしまった。…拭っても拭っても止まらない。せっかく君との通話なのに…そう思っていたら「大丈夫?…泣いてるの?」と君から
返事をしないとと、思えば思うほど涙が止まってくれない。…ついには嗚咽まで漏れていたような気がする。
すると君から「大丈夫だよ。僕が居るよ。しんどいね。」と、それに立て続けに「…本当はさ、いつも君が辛いこととかあっても僕の前では取り繕ってるの知ってる。でも、こういうのってあんまり面と向かって言うものじゃないでしょ?…だからどうしようか悩んでたんだよね。でも、いつまでも君に無理させたくないからさ。今日思い切って言ってみたけど…正解だったね。」なんて優しい声で君は言う。
…私は若干しゃくりながらも君に返事をする。
「なんでそんなに優しいの?…私はこんなに汚らしくて醜いのに。君の目に映る私はできるだけ綺麗でありたかったのに。…でも、しんどい。しんどいの。
いつも君に嘘ついてみたいで、心地いいはずなのに息が詰まりそうで…」言葉が詰まった。
「君は汚らしくないし、醜くもない。僕にとって星とか宝石とかと同等…いやそれ以上の輝きを放つ人だよ。…あと、僕はそんなに優しくないよ。だって、ここまで君に無理させてるんだからね。…優しいのはむしろ君。どんなことがあっても、僕のことを一番に考えてくれているのがどれだけ凄いことか、君あんまり分かってないな?」と優しく言われ、そしてこう続けて言われた。
「でも、君の弱いところ僕に見せてくれてありがとう。あまり曝け出したくないだろうに。今度は電話越しで伝えるんじゃなくて、直接ね。
…ここまで通話してきたけど、どうする?電話切る?繋いだままにする?」と提案された。
私は迷惑だろうし切ったほうがいいかな。と考えたけれど、これでは前となにも変わっていない。…いや、ここまですぐに変える必要性はないだろうが。
でも、ここまで私のことを見てくれていた、優しくしてくれた君に失礼な気がしたから。
…私を偽るのは今日でさよなら。おしまい。
そう思い、「電話繋いだままにして欲しい。…君の声がもっと聞きたい。」と返答した。
お気に入り
「私はお気に入りのものがたくさん抱えきれないぐらいあるよ。
景色とか、食べ物、言葉、音、匂い、感触、人とか…もう挙げ出したらキリがないけどね笑
キリがないくらいにお気に入りのものがあるけど、一番のお気に入りは貴方の隣かな。
だって、貴方の隣って息がしやすくて、それでいて心地よくて微睡んでしまうんだよ。
辛かったことがあっても、貴方の隣にいるとじんわりトゲトゲしている辛かったことが丸みを帯びてきて嬉しくなるの。
たとえ辛いことがなくても、嬉しくなっちゃう。」
ここまで、私のお気に入りのものについて語ってきたけど…貴方はないの?お気に入りのもの。
あったら、聞かせて欲しいな。
だって、貴方の話聞いてるの楽しいだもん。
ふふ笑
誰よりも
「誰よりも私は世界で一番綺麗」
そう言い聞かせる。
だって、そうしていないと「私」が「私」でいられないもの。
そう思って、今日もいつもように自分に「呪い(まじない)」をかける。
でも、どうしてだろう?
「呪い」を「私」にかければかけるほど、自分の首、手足に枷が嵌められていくようで重っ苦しくて動けない気がするの。
息苦しい気がするの。
どうして?
「ワタシ」はだだあの子みたいになりたいだけなのに。
眩しくて目も向けられないほど「綺麗」で「可憐」で「完璧」なあの子みたいになりたいだけなのに?
「ワタシ」が「私」にいつまで経っても釣り合わないと思うのは気のせいだろうか?