あいまいな空
「先生、僕はどうにもはっきりしない天気が苦手なんですよ」
教室の窓から晴れとも曇りとも言い難い空を見ながら僕は隣に立つ先生に言う。
先生は眼鏡の奥にある目を細めて口元をゆるめる。
「そうかあ。まあ、苦手なもんがあっても良いだろう」
先生にそう言われると心の奥で固まっていた何かがゆっくり溶けていく感覚がした。個人の意見など無いものとして扱い、“こうでなくてはならない”そんな誰かからしつこく聞かされた言葉を先生は口にしない。
さすがに道徳に反する事は許しはしないが、先生はいつだって僕達を見てくれた。
「ちなみに一番好きな天気はなんだい?」
先生の問いに僕は少し間を空ける。
「……雨が好きです。特にしとしと降る雨が。世界が一番静かで穏やかな空気に包まれている気がするから」
僕の言葉に先生は目を開いてから視線を空からこちらに向けた。
「月見里(やまなし)くん、君の言葉の表現が私は好きだなあ。今ので雨の日を楽しめるキッカケが出来たよ。うん、いいねえ。確かに言われてみると雨の日は君の言葉の通りだ」
先生は小さな事すら認めてくれる。
だから、僕はダラダラと放課後こうして先生と話をしてしまうんだろう。
日々家
あじさい
あじさいが咲きましたね。今、貴方の心は何処にありますか。
日々家
好き嫌い
花占いで一喜一憂するあなたに絶対に好きで終わることを内緒にして、最後の花びらを満面の笑みで見せるあなたの頭を撫でたい。
日々家
街
君の居る街は、毎日賑やかでどんな景色も色鮮やかだった。
君の居ない街は、景色が色褪せ音も止んでしまい、侘しい気持ちが押し寄せてくる。
日々家
やりたいこと
やりたいことがあるならば、可能な事からやっていきたいと思った。
例えば少し高いコーヒーを飲むとかそんなことからで良い。
小さなやりたいことを積み重ねていくと、空っぽだった小瓶の中にカラカラと音を立てて何かが満たされていく感覚がしていくから。
いつかこれが満たされた時、私は穏やかに笑えているだろうか。
日々家