虹のジェットコースターに
乗ってるみたいな
あなたと過ごす一日
楽しくて 気持ちがキラキラして
ずっと一緒にいたくて
分かれる時は
キュっと寂しくなるけど
ポップコーンの気軽さで
じゃあね!
背中合わせに一周して
また会えるよう
つま先を外に向けて歩き出す
(テーマ 別れ際に)
風がふっと冷たい手で
首に触れた
短くなった髪がざわつく
秋だ
秋だ
秋だね
ほつれたチェックのマフラーを
バッグから出して巻いてみる
ブーツの先に
木洩れ日がひらひらと
舞い落ちて
どこまでも歩いていけそうな
青い空
おはようくらいの軽さで
すれ違う人に言いたくなる
秋だね!
じゃあね、と店を出たら
ぽつり。
時を見計らったように
雨が降り出して
ゆっくりと
街を閉じ込めてゆくから
傘を差して俯いていれば
泣いてることなんて
誰にも気づかれなくてすむね
渡しそびれたチケットを破いたら
自分の心がちぎれたように痛い
夜半過ぎには台風が来るという
悲鳴をあげて泣いてるような
風の音
空も泣いてるのかもしれない
カレンダーはいつの間にか九月
アスファルトの上を撫でる風は
生暖かくて
まだまだ暑いけど
ある日突然、秋が始まりそうだから
ワンピースにサンダルは
今日で終わりにしよう
物置の下で涼んでる猫に
ちょっと声をかけたら
あなたに会いに
風通りのいい
生成りのワンピースを着て
出かけます
わたしたち
今日で終わりにしよう
なんてね
コトリと窓辺に置いた木製のうさぎ
あなたからの誕生日プレゼント
作家さんが作ったんだってと
誇らしげにくれた
世界に一つだけだよって
わぁ。嬉しい。そう言ったけど
美術が好きなわけでもなく
ただ飾るだけのこの子を貰い
ちょっと、とまどった
世界に一つの貴重なうさぎよ
なんだかなと思ってごめん
でもだんだん可愛く見えてきたよ
あの日から20年
彼はいなくなったけど
たまにホコリを被りながら
引越しの箱に揺られながら
今日も部屋の窓辺に鎮座してる
少し日に焼けて
すっかり愛着の湧いた
世界に一つのうさぎ