5/31/2023, 10:38:32 AM
雨が降りそうだ。
ほら、また憂鬱そうに窓を見る。
目が合えば、おどけたように笑うだろう。
「そろそろ梅雨だな。」
目も合わさず、呟いてみた。
「長いかな。」
静かな声が返ってきた。
「俺は好きかな。」
「物好き。」
降り出した雨音が、鼓膜を微かに震わせていく。
5/30/2023, 4:09:02 AM
また降ってきた。
「私が降らせたの、雨女だから。」
口を尖らせ冗談まじりに言う。
「私が降らせたかもしれないよ。」
仲間だと言わんばかりに
にっと笑う。
お決まりのやり取り。
いつもの空。
ごめんね、ありがとう。
5/26/2023, 9:03:09 AM
行くところ行くところ雨が降る。
「雨女」と呼ばれてきた。
こんな降り止まない雨なんかもそう
全部私のせいなんだって。
恵みの雨とか風情だとか、
いい意味で使われているときは
「雨女」なんて呼ばれやしない。
人の都合で忌み嫌われるくらいなら、
この音も匂いも冷たさも、
終わりの見えない理由さえ、
全部私のものにしてしまおう。
5/21/2023, 2:04:39 PM
転んだ膝小僧と
泣くわたしを
風呂場に連れてく母
その柔らかな手が
ただの透明な水を
魔法の水に変える
5/18/2023, 12:05:09 AM
投げ捨てられた星々は
両手で拾い集めよう
孤高に輝き啼く月は
心ゆくまで聴いていよう
誰も目覚めぬ頃合いに
世界はひとつ動き出す