「夏まで生きていようと思った」じゃないけど、
小さい約束たちに生かされてるなあと思う。

友だちとのだったり、自分とのだったり。
今度会うからとか、今度あれ発売されるからとか、
今度〆切だからとか、今度晴れだからとか。

自分は遠くの向こうを見るのが苦手で、
足元に都度都度、枕木を敷いてくような
生き方しかできないから。

ただ、そうやって生きてるなあと思う。

今は種をまいて水やりしているのだと
自分に言い聞かせているけれど
種だと思って埋めたものが
BB弾だったらどうしようってずっと不安

そのときはくるんかね

炙られたプリーツの熱を
膝裏に感じながら
階段を駆け降りる

1月の校舎はつんと冷えきっていて
鼻に残った灯油のにおいは
あっという間に去ってしまった

「きゅ」ですぼめた唇の上に乗せるポッキー

再生して、巻き戻して、また再生して、一時停止する
フレームの外にいるあなたを思い出そうとする
まなざしとことばの質感を思い出そうとする

ストロボの明滅に消えたあなたを
ある日とつぜん動かなくなったあなたを