今の自分はなぜかめちゃくちゃ腐っていて
正しい言葉が入ってこない
だから、いまから明けない夜を探しに
特急電車に乗るのです。
南の方に行けば夜は明けないでしょうか
それとも海に潜れば竜宮城について
時間がおかしくなるでしょうか
いっそのこと、その時計を壊しましょうか
そこの壁に矢印が書いてあります。
右に進めば西口改札にたどり着くのです。
ここで切符を買うのです。
私を駆り立てるな!と苛立ちながら、
結局お家へ帰るのです。
明けない夜は、おふとんのなかの
自分の世界にあると信じて
ふとした瞬間に
隣の席のカップルの女の子と目が合った
目が少し曇っているのがわかった。
彼女は、サッとすぐに目を逸らした
彼女がずっとお話ししているのに
彼氏はスマホに夢中だから。
彼女の目の色は孤独と不安と悲しみと
少しだけまだ期待の色が残っていた。
彼女はがんばっている、じゅうぶん。
イヤリングがキラキラ揺れるたび
そこには誰にも受け取られることなく
散っていく、わずかな愛情が確かにあった
どんなに離れていても、
居場所や連絡先を知らなくても
もう天国に行ってしまった人に対してでも
名前を言わずに
自分の声で一言だけ伝えられるとしたら
何の言葉を送りますか?
行ったり来たりを繰り返して
思考の巡りは朝までつづく
ひとり、布団のなかで丸まって夜を過ごす
仕事があって強制的に朝起きて
リズムをだんだん取り戻す
自分に戻っていく感覚と
あの時の思考の巡りが薄れていく
少しばかりの淡いさみしさ
最近いつも電車が混んでいる
そんな朝、ふと昨日と同じ人が
目の前に座っていることに気づく
何か熱心にクロスワードに書き込んでいるようだ
縦の文字と横の文字が交わって
言葉が浮かび上がる。
文字がだんだん埋まっていくうちに
駅のホームから人も乗り込んできて
電車もぎゅうぎゅう埋まっていった。
文字たちは窮屈そうに四角の中に収まっていた