小、中学生のときって、
何であんなに卒業式の練習をさせられたんだろうか
呼名の練習やら、合唱の練習やら、
立ち座りの練習とかもしていた。
そのせいか、卒業式では
悲しみになんか浸る余裕はなかった気がする
ただ、大人になってから時々、
卒業式で歌った合唱曲を思い出すときがある
まだ知らぬ未来への不安と
別れのヒリヒリ感が、今となっては愛おしい
秘密の場所は冷凍庫の中にある
冷凍の唐揚げボリュームパックが
実は隠し扉になっていて
その下にはご褒美アイスがいくつか敷きつめられている
アイスが食べごろになるのは、
大体仕事がうまくいかないとき
そうそう、あのさ、そういえばね、思い出した。
別に大した話じゃないの、
私もうメニュー決めたから、
ほら、パフェでも選びながら聞いててよ
前に公園でね、
そうあの中央に大きい噴水がある公園なんだけど
あそこの噴水の前でギターの弾き語りしてる人がいたのよ
白いシャツのおじさんよ、ギター持って歌ってたの
たぶん自作の歌だとおもう
私、暇だったからぼーっと聞いてたんだけど、
なんかいい歌だなあっておもって、
しばらくその場から動けなかった
それだけ。
ね、本当に大した話じゃなかったでしょ?
ああ、このイチゴのパフェとか美味しそうじゃない?
耳鼻科でもらった花粉症の薬、新しい靴、
焼き鳥6本、それからボールペンの替芯
ちょっと遅れた誕生日プレゼントでバスボムを
全部入った大きなエコバッグを持って
これからお気に入りの珈琲屋さんへ
どれもこれも私の日常を助けてくれるもの
明日の朝を迎えるのがちょっと楽しくなるもの
問い合わせをするために
コールセンターに電話をかけているのに、
全然繋がらない。
コール音とともに静かな午後に取り残されていた。
ふと外を見ると、雨が降り出しそうな
真っ黒な雲が迫っていた。
遠くのアパートのベランダで、
急いで洗濯物をしまおうとしている人が見えた。
コール音はまだ続いていた。