めろんぱん

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3/5/2025, 12:50:31 PM

問い合わせをするために
コールセンターに電話をかけているのに、
全然繋がらない。

コール音とともに静かな午後に取り残されていた。

ふと外を見ると、雨が降り出しそうな
真っ黒な雲が迫っていた。
遠くのアパートのベランダで、
急いで洗濯物をしまおうとしている人が見えた。

コール音はまだ続いていた。

3/4/2025, 10:29:56 AM

あるとき、インターフォンが鳴ったので
出てみたら宇宙人が立っていた。

「こちらがお約束のものです。
絶対に幸せになれますよ、保証します。」

宇宙人は、小包を渡して帰っていった。
まさか宇宙人から宗教勧誘される日が来るとは、
と思いながら、とりあえず受け取ってみることにした。

小包を開けてみると、中には絵本が入っていた。
絵本は、見たことない丸い文字で書かかれたもので、
クレヨンのような、あたたかみのある色合いだった。

私はそっと文字をなぞってみた。
すると胸につっかえていた悲しみが、少しだけ消えた。

3/3/2025, 11:47:07 AM

改札を出たら、春の陽気だった。

チューリップの花束を抱えた人が、
颯爽と通り過ぎていった。
そのとき、花びらの1枚がひらりと軽やかに落ちた。

取り残された鮮やかなピンク色の1枚が、
静かにこちらを見上げていた。

3/2/2025, 11:00:33 AM

扉をたたく音
突然鳴り出す着信音
来訪者を知らせるチャイム
かたり、と誰かからの手紙が届く音

世の中は、自分の手では動かせないけれど
布団から顔を出して見えたのは、きれいな青空だった。

3/2/2025, 8:02:12 AM

3月がはじまり、春の気配が街に漂っている。
受験生だったときのことをふと思い出して
胸がきゅっとなる。

何か変わらなきゃいけないような気がして
何も変わっていない自分と
変わっていく季節に焦る。

毛玉だらけの服、去年の春は何をしてたかな。

2月のカレンダーを破り捨てて、
3月のカレンダーに睨みをきかせる。

やってやろうじゃないの。

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