1秒、1日、1ヶ月、時間が進んでいくにつれて、新しいものに変わっているのだと気がついた。髪の毛が抜け、新しいものが生える。爪が伸び、いつしか切る。昔嫌いだったピーマンを、今では好きなように、いずれ昔になる今好きなものは、いずれ今になる未来で嫌いになるかもしれない。
失いは得て、失いは得て。
「私」とはなんなのか。何を持って「私」と定義するのか。
それなのに、それなのにあの時の痛みは、苦しみは、喜びは覚えている。記憶している。はずなのに、思い出せない何かがある。
何かを失っている気がする。それは何だったか?
(失われた響き)
もっと勉強をしていれば、もっと美しい世界をみることが出来ていたのだろうか。君のようになれたのだろうか。
後悔しているようで、心の奥底ではしていないのだろう。こういいながら、今もだらだらと過ごしている。
いつか、自分を捨ててみたい。今の自分では見られない景色を見てみたい。
そんな淡い夢を抱きながら、時計の針を見つめた。
(手放した時間)
愛した者のため、決して許されぬ罪を犯してしまったあなた。
悔い、歩み、交差した世界は、美しいものになると、私は信じている。
だから、どうか。
どうか、幸せであったことを、願う。
この願いに、祈りに、果てがきたとしても。
(祈りの果て)
貴方の頬を伝い、指の隙間を縫うようにこぼれ落ちた涙は、ちいさな、ちいさな魚となり、海に還ってゆく。
そして、今日貴方が見なかった満月を、海面から見上げるのだ。この満月が、貴方に届くことを祈って。
(そして、)
日帰り旅行、帰りの車中泊。
車の中では眠れない質の人間だが、瞼は眠気に抗えないようで。眩しくて鬱陶しかったあかりは、瞼を閉じてゆくにつれ、空気に溶けてゆらゆらり。頭に霧が立ち込める。光と霧の狭間で、現実と夢の狭間で、今日の思い出を振り返る。うん、とても楽しかった。今日のことをもう一度、夢でみれたらいいな
(光と霧の狭間で)