Seaside cafe with cloudy sky

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9/25/2024, 10:56:41 AM

【窓から見える景色】

coming soon !

9/24/2024, 10:44:27 AM

【形の無いもの】

coming soon !

9/23/2024, 10:28:23 AM

【ジャングルジム】

◀◀【声が聞こえる】からの続きです◀◀

⚠⚠ BL警告、BL警告。誤讀危機囘避ノタメ、各〻自己判斷ニテ下記本文すくろーるヲ願フ。以上、警告終ハリ。 ⚠⚠




















半分でまかせのアドリブは半分真実にもとづいた予定でもあった。エルンストの明日から六日間の休暇許可を得るため、イダ・スティール・プロダクツ社長がおわす社長室へとまっしぐらに向かっていたはずだったが、アランの物見高い行動によって事務所で予定外の道草を食ってしまったのであった。しかしそこで知った最新の情報により、無駄足を踏まずに済んだ二人はあらたな目的地を目指してメインフロアである事務所棟から外へ出、社長が居るという別棟の現場へと移動し、開けっ放しだった入口へ足を踏み入れた。そこは倉庫スペースのようで箱詰めされた製品の棚がズラリと並び、一見した限りでは人の姿は誰も見当たらなかった。が、見通しのきかない奥の方で北の言葉の掛け合いが聞こえ、その声に反応してエルンストがついてくるようアランにうなづきかけた。
「あれだ、居ました。行きましょうアラン、こちらです」
気配のある奥に向かいつつエルンストも北の言葉で呼びかける。「社長、ただいま戻りました!」するとわりと若い男の低いハスキーな大声が返ってきた。「おお帰ってきたか、甥っ子!ここだここだ!」迷路のような奥へ進んで行くと空棚の鉄骨ばかりがそびえるジャングルジムのような区画に入った。ぽっかり空いた隙間から顔が覗いて手を振っている。
「ギュンターも居たんだ、お手伝い?」
気付いたエルンストが歩みを止めず笑って話し掛けるとギュンターと呼ばれた隙間の男は面白く無さそうに顔をしかめた。
「こら、叔父さんと呼べっていつも言ってるだろ!」まったく!とさして怒っていない調子で独りごつ。エルンストと並んで歩くアランと目が合うと、やあ、と笑って後ろ被りの作業帽を脱ぎ軽く挨拶を交わしてきた。あらわになった男の髪は赤く波打つくせ毛で長く、後ろで一つに括られていた。一瞬彼が社長なのかと思ってみたが、パッと見た目はチャラい風体で、しかもエルンストの彼に対する少々雑な扱いにその考えを丸めて捨て、やあとアランも気安い笑みで挨拶を返しておいた。彼と社長が居るとおぼしき場所までまだ少し棚の迷路をぐるぐる周って行かねばならない。赤毛が顔を覗かせた空棚を通り過ぎたところでエルンストが南の言葉でアランに説明してきた。
「彼は僕の叔父でギュンター・ヴィルケ、同じく従業員なんです。主にCADデザイン担当。信じられないでしょうが、ここの素晴らしい建屋をデザインしたのが彼なんですよ」
わざと聞えよがしに言ったのであろう、聞こえてるぞ、エル!と辛口なエルンストの紹介に叔父も南の言葉で苦笑まじりに叱声を飛ばしてきた。微笑ましい叔父と甥の愉快なふざけ合い。イダ・スティール・プロダクツはいわゆる親族経営企業であり、ヴィルケの一族が中心となって切り盛りしているということを食事のおしゃべりでエルンストから聞いていた。部外者であるアランだが、傍から垣間見ただけでも確信できる、ここの職場環境の居心地の良さ、安心感、社員全体の仲の良さに、思わず深く憧憬の嘆声をこぼした。

▶▶またどこかのお題へ続く予定です▶▶

9/22/2024, 10:30:20 AM

【声が聞こえる】

◀◀【大事/おおごとにしたい】からの続きです◀◀

⚠⚠ BL警告、BL警告。誤讀危機囘避ノタメ、各〻自己判斷ニテ下記本文すくろーるヲ願フ。以上、警告終ハリ。 ⚠⚠




















クラーラの店のお隣に移動するだけだったので、次なる目的地にはたちまちのうちに到着した。イダ・スティール・プロダクツ ―― エルンストが勤める企業であり、北の本国に拠点を置く、バルマー・テクノロジーと号する産業用シール製品を主として扱う大会社に連なる子会社のひとつの生産会社、製造請負工場である。今までデータでだけその名に関わってきたアランには、今回の現場訪問という滅多にない機会に至ってほのかな感動が湧き、好奇心を大いにくすぐられていた。車で素通りしたときから気になっていたが、その工場はまず見た目がデザイン性のある洒落たカフェのような外観なのである。ダークブラウンのリブウォールにところどころ木材パネルがあしらわれ、大きく大胆に配されたエントランスや窓のガラスは建屋全体の良いアクセントとなっていた。これは内部も相当凝っているのだろうなと期待しつつエルンストに案内されて中へ通されると思ったとおりであった。シックな色調に統一された現代的モダンテイスト・インダストリアル風であり、屋内全体が吹き抜け、ぶち抜きで焼付塗装された鉄材と渋めの木材を多用した内装、インテリア、そこかしこにあるグリーン、そして広い窓による自然光と開放感は快適なリラックス空間を演出していた。ブラボー、僕のオフィスより素晴らしいじゃないか!案内の最中で幾度も足を止め見入ってしまうアランだった。
「僕の仕事場、気に入って下さったみたいですね、アラン」
二階事務所スペースに入ったところでまた立ち止まり、大窓から見える川辺の景色に見惚れているアランの無心な様子にエルンストも案内の歩みを止め、和んだ笑みでそばに寄り話しかけた。ここは大窓向きにデスクが設置されていて、入口に立つアランとエルンストから見ると社員はみな背を向けた格好で、二人には気付かずに仕事に勤しんでいた。が、背後から先ほどのエルンストの声が聞こえると社員たちは驚いて振り向き、声のぬしを見つけるや歓声を上げて席を離れ、二人を取り囲み一斉に話しかけてきた。
「エル、おかえり!大変だったな!」
「よく一人で乗り切った、ご苦労さん!」
「さっき連絡があったよ、チーフの意識が戻ったって!」
「ね、この人?助けてくれた人って?」
「え、やだ素敵!!」
「ホントだ!だれ、ねえ誰、エル?」
やはりここでも女性の観察眼は優秀で、概して女性社員が多く、たちまちアランにむらがる数が増えていっそう賑やかなおしゃべりとなった。少数男性社員陣はぽつねんと囲みの外で呆気にとられて眺めるばかり。アランのそばに居たせいで巻き添えに遭い、一緒に包囲されたエルンストは収拾をつけるために声を上げて注目を引かせた。
「ああ、みんな静かに!我が社の大恩人なんだから行儀良く頼むよ。彼はアラン・ジュノーさん。偶然通り掛かったところを助けてもらって、チーフを病院まで運んで下さったんだ。騎士道精神あふれる彼に、まずは感謝の拍手を!」
エルンストが高らかに手を打ち鳴らすとすぐにわっと大きな拍手喝采が沸き起こった。思いもよらぬ盛大な歓迎ぶり、全員の眩しいほどの陽気で天真爛漫なリスペクトの笑顔を向けられてアランは気恥ずかしさを覚え、片手を首に当て気後れ気味に笑って会釈するだけの控えめなお返しでその場をしのいだ。病院でエルンストに指摘された、エリート然としていない「素の状態」の時に、こういうおおやけでの華々しい席は苦手なんだけどなあ……アランは助けを求めてエルンストに視線を合わせ、困ったように肩をすくめてみせた。すると彼は意外な表情を浮かべたものの、仕草で告げられたアランの意を重んじて拍手を止め、ふたたび声を上げてみなの注意を引いてくれた。
「拍手をありがとう。実はさ、社長にもこの大恩人へ感謝とご挨拶をして貰うために、彼、ジュノーさんに無理言ってわざわざここまで寄って頂いたんだ。いま社長室へ向かっている途中だから、あまり他では長居できなくて。だから悪いけれど僕たちこれで失礼させてもらうよ。それじゃあね、みんな。仕事の邪魔してごめんよ」
半分でまかせのアドリブを上手く織り交ぜて、穏便にいとまごいをするエルンストにアランはまたもや感心する。シャイで誠実で純朴で、冗談や駆け引きが苦手そうな印象が初めにあったが、ときに見せる当意即妙に堂々と振る舞う如才ない彼にずいぶんと一目を置くようになってきた。 ―― 一緒に仕事できたら面白いかも ―― そんなことをふと考えたりして。
「あ、ちょっと待った、エル」
事務所員一同の落胆がさざめき広がる中、それ退散!と笑って手を振り踵を返しかけたエルンストとアランに社員の一人が声を掛けた。
「たしか社長はいま部屋には居ないぞ。多分現場で作業してるはずだ」

▶▶またどこかのお題へ続く予定です▶▶

9/21/2024, 1:10:25 PM

【秋恋】

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