Seaside cafe with cloudy sky

Open App
8/24/2024, 12:20:16 PM

【やるせない気持ち】

去年とほぼおんなじなんだ……と気付いたのは始めてから1年ちょっと経ったころ。もしかして毎年同じ?リニューアルされないのだろうか?来年もおんなじなのかなーと考えるとやるせない気持ちになった。けど続きものを書き進めていくうち、次にどんなものがくるかあらかじめ知っていると、早めに話のあらすじを考えて置けるじゃないかという利点に気付いて、ま、いっかと思い直し楽しく継続中。すべてを制覇できたら感無量だろうなー✦地道にその目標達成に向けてトライしていくぞー✦( ^ ^ )/✦

8/23/2024, 1:30:48 PM

【海へ】

coming soon !

8/22/2024, 11:49:24 AM

【裏返し】

coming soon !

8/21/2024, 1:14:14 PM

【鳥のように】

◀◀【さよならを言う前に】からの続きです◀◀

なんてツイているんだ、アランとまた会えた!
逸る想いをなだめつつ、エルンストはアランの車をひた走らせる。もうすっかりお昼どきを逃して二人ともかなりの空腹感を覚えているはずだが、アランはいざ知らず、エルンストにおいてはこのたびの僥倖による興奮で胸がいっぱいだった。
マルテッロが危ないと気づいてトラックを停車させ、事務所へ電話を入れて誰か助っ人を呼ぼうとしたところ、少々旧式の、淡いレモン色とアイボリーのツートンカラーをしたアランの車が視界の端に忽然と現れた。考えるよりも早く車を降りて呼び止め、出てきた人物を目にしたエルンストは、鳥の巣のようなポサポサしたくせ毛が印象深く感じられた。その後に名前を聞いたとき、あれ?と首を傾げる。――アラン・ジュノー……同じ名前だ。もしかして……?納品先へ車を飛ばしながら思いを巡らす。エルンストは名刺を渡したがアランは旅行中ということで名刺を携帯しておらず、名前とスマートフォンの番号しか彼を知る手掛かりがなかった。

―― よろしく、バルマー・テクノロジーグループのルーキーたち。これから一週間のオリエンテーションの案内役を務めるアラン・ジュノーだ。アランと呼んでくれ、僕も君たちをファーストネームで呼ぶから。さあ楽しい一週間にしよう。 ――
今でもはっきりと思い出せる初対面時の記憶。アラン・ジュノー、二年前に出会って憧れの人となった、大企業を渡り鳥のように飛びまわるゴールドカラー。あらゆる高度なビジネススキルはもとより、モデル級のイケメンぶり、隙のないダンディーな身だしなみで物腰は常にスマート、皮肉もユーモアもお手のものな会話術……エルンストだけではない、参加者全員が彼に魅了された一週間だった。
……声や口調はたしかに似ていた。髪色も……手入れされていないようだからなんとも言えないけれど、同じ色だったと思う……目の色は……眼鏡で分からなかったな。再会したときにちゃんと訊いてみよう ―― 記憶をたよりに各要素で分析してみたが断定できない。悶々としながらも無事一人で納品を終え、昼食に誘われたが断ってアランに教えた病院へとまっしぐらに道を急いだ。道中で事務所へ電話してマルテッロのことを説明し、病院の対応のための誰かを差し向けるよう伝えて、アランからのメッセージも受け取って返信して ―― 目が回りそうだった。それでもなんとかやり遂げた。そして病院で再会したとき、アランは二年前と同じ仕草、同じ感動詞でエルンストを称賛。それが決定的な二人の思い出の証拠となった。

それにしても……なんでハグまでしちゃったんだろう……自分ってこんなに感激屋だったかな……軽い自己嫌悪に陥りながらもその時に見たアランのドアップを思い出す。二年前と変わらずの超イケメン、至近距離からだとそれがよく分かった。たとえ髪が鳥の巣でも、あまり垢抜けないボストンタイプの眼鏡でも。恥ずかしかったけれど、非常に得した気分のエルンストであった。この機に乗じて、少しでもお近づきになっておきたい。そんないぢらしい下心から食事に誘い、トラックとマルテッロをようやくやって来た事務員に任せて彼の車に同乗し、運転も買って出て出発したという次第。よし、あともう少しだ ―― 見えてきた目的地を目指してエルンストは、安全運転でアクセルの踏みをゆっくりと緩めていった。

▶▶またどこかのお題へ続く予定です▶▶

8/20/2024, 5:02:21 PM

【さよならを言う前に】

◀◀【鏡】からの続きです◀◀

―― 59、60……約一分経過。そろそろ声を掛けてもいい頃だろう……ハグされたまま心の中でカウントしていたアランは、撫でていたひよこ頭から手を下ろしてエルンストの背を叩いた。
「エルンスト、あのときも僕たち、こんな風にハグまでしたっけ?」
からかい気味に耳もとで言うと相手は微かに身じろぎ、夢から目覚めたような風情できょとんと首を巡らせた。そして。
「……え、…… ―― わあっ!!」
間近で見たアランに驚き、次いでそのアランをガッシリと己の腕の中に収めていたという事実にも仰天して、飛び退くように身体を離すとアランへ平謝りに謝った。今度は首まで真っ赤っかにして。
「すみません、アラン……じゃなかった、ジュノーさん、その、あまりにも嬉しかったので、つい……気づいたら……本当に、失礼しました!ごめんなさい!!」
まるでドッキリ番組で色仕掛けのイタズラに見事嵌められた、可哀想な犠牲者のようなコミカルなリアクション。途中まで堪えていたが、ついにアランは肩を震わせて忍び笑いを盛大に漏らしてしまった。
「フフ……アランで構わないよ、エルンスト……アハハハ!……君ってまったく!」
素直で、邪気がなくて、一生懸命で ―― 見てて飽きない、憎めない子だ、まったく。まいったね ――
笑いすぎて座ったまま上半身をロビーチェアに倒れ込ませ、なかなか治まらない発作をやり過ごす。涙まで浮かべてた ―― 拭おうとして掛けていた眼鏡を外すと、今まで目をパチクリさせて笑い転げるアランをどうしたものかと、おとなしく見守っていたエルンストだったが、おずおずと覗き込んできてこう言った。
「あの……オリエンテーションでは眼鏡じゃなかったですよね。だから初めはあなただと気づかなかったんです。……その、髪型も…………なんというか、今よりもすっきりと整えていらっしゃったし……さらにスーツ姿で、まさにエリート然としたあなたしか記憶になかったので……」
鎮まりかけていた笑いがまた込み上げてきた。
「エルンスト ―― 君の奥ゆかしい皮肉、気に入ったよ。ハハハハッ!」
「 ―――― 失言でした!すみません!」
本気ですまなそうに謝るエルンストがまたまたツボに入って止まらない。いい加減苦しくなってきた ……ああけれど、こんなに気持ちよく笑ったのは久しぶりだなあ ――
栗色のボサボサ髪を掻き上げてひとしきり笑ったアランだったが、徐々に落ち着きを取り戻すとはたと本来の目的を思い出し、つかの間フリーズしてポツリとつぶやいた。
「そうだ、僕は旅をしていて……ランチを取りに行こうとしていた最中だったんだ……」
それなのにどうして僕はいま、空きっ腹のまま病院の一画で、一人大いに抱腹絶倒しているんだろう?それも、奇しくも再会したエルンスト・ヴィルケのおかげでだ。―― きっと素敵な旅になる ―― この予感どおり、素敵で不思議な旅がはじまりつつあるんだろうか ―― ?

さよならを言う前に、もう少し彼と過ごしていたいかな ―― 一抹の物寂しさを覚えてふとそんなことを考えていると、エルンストがひょいと、ふたたびアランを覗き込んで申し出てきた。
「昼食、まだだったんですね。僕もです。ご馳走しますから一緒に食べに行きましょう!いいところを知ってます!」

▶▶またどこかのお題へ続く予定です▶▶

Next