窓に入る日差し
光と影をみつめている
#日差し -9-
窓越しに見えるのは
いつだって、大したことはない風景。
ふとそんなこと思いながらカウンターの
窓越しで顔をあげたら…
あ……ん?見覚えのあるバッグ…
ふと、見るとあの頃大好きだった人…!
どうしよう…声かけに行こうか…
どうしよう、ドキドキする…
手に汗をかく。
私のこと、覚えているかな…
どうしよう、どうしよう…!
……なんて事は物語だけだろう。
窓越しに見えるのは、やはり、
なんてことない、リアルな日常と
反射した自分。
私は汗をかいたアイスカフェオレを
飲み干した。
#窓越しに見えるのは -8-
見えないのに、赤い糸って…
本当に赤いの…?
いつからか、
植え付けられた赤い糸のストーリー。
こんなにたくさんの人がいるから、
絡まるかも知れないよね。
途中で切れちゃうかもしれないし。
だけど…またどこかに結んで繋いでいくのかも。
「運命の赤い糸」って最初に言った人に会ってみたい。
ここまで浸透している、運命の赤い糸の原作者だもの。
何が見えたんですか?
どんな様子の糸でしたか?
私の糸は誰に繋がっていますか?
赤い糸の他に何色がありますか?
#赤い糸 -7-
空を見ると、入道雲。
ふわふわしてそうで
いつも乗りたくなる。
私を運んでくれる気がしちゃう。
乗れないのに。
はっきり、くっきり、きれいだから
手を伸ばしてつかみたくなる。
掴めないのに。
残念ながら、入道雲は
目に焼き付ける以外は何もできなそうだ。
「空の絵を描きましょう」
と言われたら、
私は迷わず、この入道雲の絵を描くと思う。
たぶん、海も描く。
青×白×青の世界。
青と白の絵の具を使い切るかも。
目に映るこの雲は、2度と同じものは見れないから
無心に描くかもしれない。
#入道雲 -6-
日本の夏。
ひと昔前とは随分と変わった価値観。
「夏」といえば
風鈴、花火、蚊取り線香、扇風機…などなど。
しかし、
涼しげな風鈴の音はやがて
「うるさい」
と言われる時代になり
公園には「花火禁止」
の立て札
「蚊取り線香の匂いはちょっと…」
と言う人
扇風機にはプロペラが無くなり…
日本の夏…どこに行ったのだろう。
春は桜を楽しみ
秋は紅葉を楽しみ
冬は猫はこたつで丸くなってる。
変わらない。
なんだか、夏だけ、価値観の変化を1番感じる。
暑すぎるのか…。
耳で感じて、目で眺め、
風を感じる。
それを、しなくなったのか、
時間が無くてできなくなったのか。
見直したいライフワーク。
心にゆとりを持ちたい、夏。
#夏 -5-