たとえ、その場所が幸せだったとしても、
それでも、ここではないどこかを
人は求めてしまう。
逃避か?向上心か?
ここではないどこかに託された
希望。
#ここではないどこか - 4 -
君と最後に会った日
雨が降っていた。
君と最後に会ったその日が
もうこれから先、
君に2度と会えなくなった日だった。
一生分の涙を流したのではないかと思う。
君と最後に会った日の雨は、
やむことなく、降り続け、空はずっと暗かった。
この空は、年月がたてば
私の目に、
輝かしいほどに青くて、眩しくて、明るい空に
映るんだろうか。と問いかけていた。
あの日から随分と年月を重ね
私は君の年齢をさっさと飛び越えている。
もう、“お兄ちゃん”と呼んでよいのかすら
わからないくらいになった。
最後に会った日のまま歳をとらない君の写真と。
歳を重ねていく自分。
ふと空を見てみると
今の私の目に映る空は、あの日と同じような空だった。
まだ、晴れていない。
でも、私、負けない、頑張るよ。とポツリ呟き、
涙を流す。
今、君がいる空は
君と会った最後の日のような空ではなく
青くて、明るくて、眩しいくらいの空でありますように。
いつかまたそこで会おう。
また一緒に笑おう。
それまで頑張ってみるよ。
『君と最後に会った日』というタイトル
私にはどうやら、ちょっと辛いようだ。
歳をとらない君の笑顔の写真を見ると、涙がでる。
もう何年も何年も経ってるのに。
泣くな私。頑張れ、私。
#君と最後に会った日 -3-
日常の中で突然目に入ってきた。
蕾をつけたそれは
まるで触れたら
ふっと消えてしまいそうで儚い
きれいな植物だった。
気になる私は毎日その道を通ることにして
見守りながら花咲く日を待った。
ーある朝、そっと咲いていた。
日の光に照らされ、美しく輝いていた。
あまりの美しさに、時が止まったように感じた。
お花に魅せられた蝶達はヒラヒラと吸い寄せられ
甘い甘い蜜を吸う。
私は蝶と一緒だ。
この美しさ、永遠にと願うが、
一瞬の輝きだ。
だからこそ、より強く美しく、
儚さを持った輝きに見える。
私は魅せられている。
狂おしい程に。
#繊細な花 -2-
そこは、どこでょうか。
今は、真っ白な世界。
そこは、どんな色の世界でしょうか。
せっかくだから、今から、
きれいに色づいた世界を望んでみましょうか。
#1年後 -1-