NoName

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7/9/2025, 9:41:06 AM

あの日の景色


記憶の中の君はいつも私の先を歩いてた。
だから君のことを思い出すと、私より少し小さな背中が、浮かんでくる。
いつも追いかけていたからかな。
置いていかれないようにって。

あの日、最後に君と話したときのことを忘れられない。
君をひとりにして自分だけ、楽になったこと後悔してる。
君を一人にしていいはずがなかったのにね。

私と離れてから、しっかりしたってきいたよ。口調も丁寧なものにしたらしいね。
ごめんね、全部背負わせて。

今度はちゃんと君のこと待ってるから。
置いていかないから。
こっちにはあんまり早く来ないでね。

7/6/2025, 8:35:06 AM

波音に耳を澄ませて


あ、これ駄目なやつだ。
1年に一度、来るか来ないかの気分が底の底まで沈む日。
どうしよっかなって考えながらふらふら歩き出す。
気づけば夜。しかも海にいる。
なんでこんなとこまで来たんだろ。
自分でもわかんない。
まあいいやって思いながら砂浜に座ってぼーっと海をみる。
波の音に意識を向けてたらあいつのこと思い出した。
そういえば今日か。あいつの命日。

やっぱり僕はあいつのこと、忘れられてないみたい。
だって、お前とのこと今でも簡単に思いだせるし。

あの時は、お前が隣にいたから、何でもできる気がしてた。いや、何でもできた。
けど今はお前が隣にいない。
その事実がどうしようもないくらいに苦しい。

やっぱり大丈夫じゃない。助けて。1人は嫌だ。
なんで俺のこと置いていったの?

2人で最強だって言ったくせに。

「あー、やめたやめた。もう帰ろっと。」

もう過去のことだろ。
いつまでも過去に縋ってる自分が嫌になる。
こんな女々しい俺じゃ、あいつガッカリするかな。

今の僕、最強なんかじゃないもんね。